東京の地質見学・生徒レポート その1 その2 その3

F1F 菊池 直記


当日使用した道具:

 ハンマー、たがね、マイナスドライバー、ビニール袋(採集用)、カメラ(撮影用)、ルーペ

 化石はハンマー、たがね、マイナスドライバーを使い、露出した化石の層から採集した。


1998年10月25日(日)晴れ

 反対方向の電車に乗ってしまうなど、いろいろあって、結局20分遅刻して集合場所の等々力駅についた。 誰もいなかった。やはり萩谷氏はそういう奴なのか薄情者め と思った。俺は来ない友達を30分も待っていたのに。 返るか遊ぶかしてやろうと思ったが、折角来たのだからという気持ちがあったので、とりあえず渓谷を探した。
 思いが通じたのだろうか、勘と知識と情報で難なく見つけることができた。 そして通行人の進路をふさぐ集団を発見。さりげなく合流。萩谷氏は俺にすぐ言った。 「どうりで今日はやかましい奴がいないと思ったら。」これが教師の言葉と思えようか。 まあ、今日は見学でハイなんだろうと思ったので勘弁してやった。彼の服装はモコチンスタイルと酷似していた。

 正直なところ、集合に遅刻したのがかなりまずかった。全体の雰囲気や流れがつかめなかった。 プリントも最後の方で渡されたので、さらりと目を通しただけだ。どこかで解説をして欲しかった。

 等々力渓谷 … 地層の断面がよく見えた。あれは川が侵食し、水量の減少で見えているのか、隆起したのか、 それともずれたのかよくわからない。
 とにかく一番下がカタい地層で2番目がレキ、3番目が赤土(一部赤土でないところがあるらしいが)と言っていた。 レキが丸いかたちをしていたような気がするが、川の下流だったということだろうか。 カタい地層は青く見えるほど黒かったのだが、何だったのだろう。

 不動尊 … 不整合面が見ることができた。粘土、レキ、赤土の層だった。
 たしか粘土の層だったと思う。水が表面からポタポタと落ちていた。水を通さないということなのだろうか。 なぜ↑と地層が同じでないのだろうか。でも地層を構成するものは似ていたというより、ほとんど同じだった。 歩道の敷石も天然のもので、水に削られた紋がついていた。

 電車で狛江へ移動。萩谷氏は少しいい加減なリーダーシップを発揮した。
「1…2…9,10…」「10人以上いるからいいな。」20人近い生徒を適当に確認し、誘導。頭はすでに化石のみである。 謎の大きな黒バッグの中身は何だったのだろう。

 狛江 … 最初に下りた河原は白い丸い石が多かった。よく見ると赤や薄緑、黒、すじが入った石が見られた。 少し歩くと 赤、黄、茶が混じったような凸凹の多い地面が広がっていた。俺は「堆積岩でも軟らかいのがあるのか」と思った。 泥岩かな、とすぐ思った。どうせ川の堆積物だろうと思ったら、萩谷氏が化石の跡を指さして解説してくれた。 俺は皆が昼食を取っている間、ひとり化石を探していた。皆を出し抜いてやろうと思ってた。 凹みは断面が20cmぐらい見えるので凹みの側面を中心に探して、ハンマーを取り出して掘ってみたがそう甘くはなかった。
ちくしょう萩谷見つからねえじゃねえかウソつきめと思った。皆がそのうち次々と見つけていったなかで、 マイナスドライバーを持っていない俺は疲れだけをもらってしまった。
少し飽きたので誰かのとがったハンマーで「安生っ!安生っ!ヤスオっ>><<!」 と言いながら地面をザクザク掘り返してたら萩谷氏に現場を見つかってしまった。
この密告(チクリ)魔め。安生氏の手先だと思った。それにしても萩谷氏はデジカメを使うのが好きらしい。様々な理由で重宝しているらしいが、 その金でまともなスーツ一着はかえるのではないか。
 化石は石だけど結構もろくて驚いた。よくこんな強度で残っていたものだ。石灰分は残りやすいとはどういうことだ。サメの歯はエナメルって何だ。
 ついに俺も貝の化石を取って見せたら、「外側が大事なんだ。貝の模様で種類がわかる。」と言われた。 結局全体としてはウニ、貝、マツなどの化石がとれた。
 一番の印象は「有孔虫だ しきりが見える」ってはしゃいでいた萩谷氏であろうか。俺も見たが、何故 有孔虫なんだろう。 化石は小さくても立派な化石なのだということを知った。子供達のヒーロー、ティラノサウルスなどの恐竜だけではないのだ! こういう所へ目を向けるのも大事なのだ。他に放散虫も見つかった。

 今回は中2生が3人参加していたが、俺らF1Fより造詣が深かったように思える。”たがね”(地学マニア度3)を使いこなし、 「先生、ウニがとれました!」と俺にはウニに見えない化石をウニと言わしめるその知識、 狂ったように掘り、打ち、黙々と作業を続ける彼らに俺は若かりし頃の萩谷氏を見ることができた。
「あーあ彼らの将来は萩谷 宏だ」「おめー口の減らねえ奴だな。オレは今日お前らのテストを採点すんだぞ。わかってんのか?」 これなむ脅迫といふ。

 今回は化石より地層をぢかに見られたのが良かった。
 化石がどーんと大きいのだったらわからないが。

 (…中略…)

 プリントを見てわかったが、拝島、立川、玉川上水、狭山丘陵など地質で有名なものでも家の近所にあるものも意外とあるなあと思った。 玉川上水なんて隣の駅の名で極近だし、立川、狭山はチャリで、拝島へは乗り越しでいける。身近だなあ。


東京の地質と化石見学

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