太陽風と宇宙線
2001.10.27 /2002.1.27up
太陽風と、宇宙線というのは、電気を帯びた粒子が高速で飛んでくるも
のという点では、似ている。粒子の種類はいろいろあるのだけれど、電子
や陽子(水素の原子核)などはどちらにもある。
だが、飛んでくる速度が桁違いに宇宙線の方が大きい。太陽風が毎秒
500kmとか、早いときでもせいぜい1000km程度なのに対して、宇宙線の場合
は、秒速数万km、数十万kmという、光速の何%、何十%という速さで飛ん
でくる。
粒子の持つエネルギーは、運動エネルギーは速度の2乗に比例するから、
宇宙線の方がエネルギーが非常に大きい。それで宇宙線は磁気圏を突き破
って大気中に飛び込んでくるし、原子や分子を壊したり、さらには生物へ
の影響も大きいのだ。
そういう高エネルギー(高速)の粒子がどうやってつくられるか、とい うと、僕はよくわからないが、銀河系や他の銀河も含めて、いつか、どこ かの恒星が爆発した際などに放出されたものだったりするらしい。あるい は太陽内部からも核反応の際に少量の宇宙線が飛び出していたりする。
要するに宇宙線は原子核反応の際に生じるもので、コロナが磁場の力で ちぎれ飛び、吹き出すような太陽風のメカニズムとは、できかたが根本的 に違う。
(講義から)