地質時代区分

*地質時代
 地質時代とは、地層や岩石の記録から読み取ることのできる時代区分であり、基本的には化石生物の記録から時代を区分している。地球の歴史の中で、6億年前より昔の地層からは、きわめてわずかしか生物化石の記録が発見されないが、およそ5億4500万年前になると、爆発的に化石の種類と量が増加する。そこでこれ以降を古生代として区分し、その最初の時代をカンブリア紀としている。

*地質時代の名称
 地質時代の区分は、化石として発見される生物の進化や絶滅のタイミングをもってなされている。古生代、中生代、新生代という「代」の大区分の下に、カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀といった、「紀」の小区分があり、さらに「紀」は細かく「世」に分けられている。例えば現在は新生代第四紀完新世に区分される。カンブリアやオルドビスといった名称は、その時代区分を決定した地層の模式地の地名や地方名、地層の俗称などにちなんで命名されている。

*年代の決定
 地質時代の区分に用いることのできる化石は、示準化石と呼ばれる。また、示準化石となる化石生物による地層の区分を、生層序区分という。これを用いることで離れた地域での地層の新旧関係が決められるが、化石を産出しない地層や岩石の新旧関係は比較できない。岩石や化石中の放射性元素の壊変を利用して年代を求める放射年代測定法により、化石を含まない岩石や鉱物の年代を数値で求めることができるだけでなく、化石で決められた地質時代区分に数値年代を加えることができるようになった。
 近年は地球磁場の逆転の歴史も詳しく調べられて、地層や岩石の磁化方向が年代決定の基準の一つとして用いられることもある。

*生物進化の歴史
 古生代、中生代、新生代を分ける生物界の大きな変化は、大量絶滅事件として認識されている。小惑星の衝突による地表環境の急激な変化や、海洋環境の変化がこれらの大量の生物種の絶滅に関与していると考えられている。小惑星の衝突事件は、古生代以降で7−8回起きているとも考えられており、それぞれ陸上生態系に大きな影響を及ぼしたと考えられている。

 −「理科年表ジュニア」第二版、丸善(2003)所収原稿を改変。


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 萩谷 宏 2003.3