火星の石を調べることと、生命の問題とはどういう関係?


岩石の分類と化学組成について、文章を読み、設問に答えよ。

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 地球型惑星である、水星、金星、地球、火星、及び小惑星、月は、太陽系の共通の材料からつくられ、全体としての化学組成もほぼ共通であると考えられている。これらの惑星のマントルは、主にかんらん岩という岩石からできていると考えられる。かんらん岩とは、そのほとんどをかんらん石(理想化学組成:Mg2SiO4)という鉱物が占めていて、それに輝石(MgSiO3)という鉱物と、若干の他の鉱物からなる岩石である。

 マントルのかんらん岩が部分融解してマグマをつくり、マグマの密度が周囲のかんらん岩の密度よりも小さいために、浮上して、地表または地表近くの低温の場で固結し、地殻の火成岩ができる。地球以外の惑星では、このマグマのほとんどは玄武岩質の化学組成を持ち、マグマが冷えてできる地殻の岩石としては、玄武岩かはんれい岩ができる。この2つの岩石の組織は、前者は斑状組織であり、後者は等粒状組織が特徴である。構成する鉱物としては両者ともに有色鉱物としてかんらん石と輝石が、また無色鉱物としては斜長石がみられる。

 地球は例外的にSiO2成分の多いマグマも大量に生産され*1、かこう岩を特徴とする大陸地殻をつくっている。地球の大陸地殻は密度が小さく、マントルの上に常に浮いている状態のため、分裂・大陸移動や集合・合体成長を繰り返し、新しいマグマを付け加えて、地球史の長い間に複雑な構造を持つようになっている。

 堆積岩は、地表において大気や水、生命活動のために、風化−浸食−運搬−堆積といった過程を経て、岩石が変化したものである。堆積岩の特徴としては、層理や堆積構造を示すものが多く、また溶解や沈殿、生物の遺骸の濃集などによって、火成岩に比べて特殊な化学組成になったものがある。例として、石灰岩は、ほぼ純粋な炭酸カルシウム(CaCO3)、チャートは珪酸(SiO2)からなる。また、海水が蒸発したところでは、岩塩(NaCl)等も見られる。

 変成岩のうち、広域変成岩は、主に大陸の衝突の際に、地表近くにあった岩石が急速に地下深くに持ち込まれ、その場所の温度・圧力条件におうじた鉱物の集合に変化したものであり、片理や片状組織といった特徴を持つ。広域変成岩は、衝突して厚くなった地殻の部分が、アイソスタシーによって隆起し、急速に侵食されることによって広く露出すると考えられる。アパラチアなどの古い造山帯に広く変成岩が露出し、一方アルプスやヒマラヤのような、できて間もない若い造山帯では、変成岩の露出が限られていて、それはこのような考えで説明できる。

*1火星でも安山岩組成の岩石が検出されました。

設問

 現在、Mars Path Finder(MPF)による、火星表面の無人探査が進行中である。その探査の重要な目的に、火星にかつて生命が存在した痕跡を探したり、あるいは生命が誕生しうる環境が存在したことを、岩石の化学組成を分析することで示そうということがある。

 では、火星の岩石の化学組成に、どのような特徴が検出できれば、上記のような火星生命の存在に関わる情報が得られることになるのか。上の文章を参考に、自分の考えを述べよ。

1学期期末試験・高1地学から。)


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