NHKジュニアスペシャル 第26回「超銀河団」VTR台本 PD:杉山
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│VTR 1 銀河アラカルト │
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天の川 │ │Q 銀河系の星々が密集して見える部分、
│ │ 天の川です。
│ │ 七夕に登場するおりひめと彦星は
│ │ 6月から7月の夜9時頃、
│ │ 東の低い空にある
│ │ 夏の大三角形のうちの2つです。
│ │
銀河系CG │ │Q 銀河系は直径およそ10万光年、
│ │ 中心部分の厚さ、およそ1万5千光年
│ │ の渦巻き状の円盤ですが、
│ │ 全体像はコンピュータグラフィクスなど
│ │ でしか見ることは出来ません。
│ │ しかし、他の銀河を見ると
│ │ 銀河には色々なが形があることが
│ │ 分かります
│ │
アンドロメダ銀河 │ │Q 地球からおよそ230万光年の
│ │ 所にあるアンドロメダ銀河です。
│ │ 銀河系と同じ、大型の渦巻き銀河ですが
│ │ 銀河系の周りではひときわ大きな
│ │ 銀河です
│ │
ソンブレロ銀河 │ │Q 帽子の形に似ているということから
│ │ ソンブレロ銀河と呼ばれる銀河です。
│ │ 地球からの距離は
│ │ およそ4600万光年。
│ │ 黒く見える縁の部分はガスやちりが
│ │ たくさん集まっているところです。
│ │
NGC4486 │ │Q およそ5900万後年の彼方にある
(楕円型) │ │ 楕円型という形の銀河です。
│ │ 全体に赤っぽい色に見えるのは
│ │ 年老いた星が集まっている、
│ │ 古い銀河だからだと言われています。
│ │
│ │
│ │
親子銀河 │ │Q 銀河系と同じような渦巻き型ですが
│ │ 大小2つの銀河がつながって見えるのが
│ │ 特徴的な親子銀河です。
│ │ なぜこのような形になったのか、
│ │ 計算から求めたシミュレーションを
│ │ 見てみましょう。
│ │
シミュレーション │06:42│Q 渦を巻いていない銀河に
│ │ 小さな銀河が近づいてきます。
│ │ その結果、銀河同士の重力によって
│ │ 渦ができたと考えられています。
│ │ しかし、銀河系など他の渦巻き銀河が
│ │ 同じように、他の銀河の影響を受けて
│ │ 出来たかどうかは分かりません。
│ │
NGC1365 │ │Q 渦巻き型に似ていますが
(棒渦巻き型) │ │ 中央が棒のようになっている
│ │ 棒渦巻き型という形の銀河です。
│ │ この銀河も
│ │ 他の銀河が近くを通ったために
│ │ このような形になったと
│ │ 考えられています。
│ │
シミュレーション │07:20│Q 銀河のそばを、別の小さな銀河が
│ │ 通り過ぎます。
│ │ すれ違った後も重力の影響が残り、
│ │ 渦巻き銀河は、やがて棒渦巻き型へと
│ │ 姿を変えてしまったというのです。
│ │
触角銀河 │ │Q 1つの銀河のように見えますが
│ │ 2つの銀河がくっついている
│ │ アンテナ銀河です。
│ │ 同じような大きさの銀河が衝突して、
│ │ 合体したのではないかと
│ │ 考えられています。
│ │
│ │
│ │
│ │
│ │
シミュレーション │08:12│Q 銀河同士がすれ違うのではなく衝突し
│ │ お互いの重力でそれぞれが
│ │ 形を変えていきます。
│ │ 最終的には完全に合体して、
│ │ 2つの区別が付かなくなってしまう
│ │ のではないかと考えられています。
│ │
車輪銀河 │ │Q この、とても特徴的な形の銀河も
│ │ 銀河同士の衝突によって出来たと
│ │ 考えられています。
│ │ 左側に見える大きな輪が
│ │ 車輪に見えることから
│ │ 車輪銀河と呼ばれています。
│ │
シミュレーション │09:06│Q 大きな銀河に、その1/10位の
│ │ 小さな銀河を正面から衝突させます。
│ │ すると星やガスなどが、水面に広がる
│ │ 波紋のように、外側に広がっていきます
│ │ そして車輪のような形が
│ │ 出来上がりました。
│ │ 銀河が形を変えるには
│ │ どの場合も数億年もの時間がかかると
│ │ 考えられています。
│ │ また、衝突や接近によって
│ │ 出来たと思われる銀河は、銀河が比較的
│ │ 密集している場所で
│ │ 多く観測されています。
│ │
マルチ画面 │09:47│Q このように、銀河といっても
│ │ その形は様々です。
│ │ 中には不規則型といって、特徴的な
│ │ 形を持たないものもたくさんあります。
│ │ といっても、一体宇宙には
│ │ いくつの銀河があるのか、宇宙全体は
│ │ どのような形をしているのか、など、
│ │ まだまだ分かっていないことが
│ │ 山ほどあります。
│ │
│ │
│ │
銀河系〜Z/B │10:08│Q それでも、科学者たちは、観測を続け
│ │ 今では銀河の接近や衝突など、
│ │ 銀河が形作られる謎にまで、
│ │ 研究が及んでいるのです
│ │
│ │ 10:26
│ │
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│VTR 2 銀河衝突シミュレーション │
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銀河系〜局部銀河群 │11:40│Q これは銀河系です。
│ │ 銀河系を中心に、
│ │ 半径およそ300万光年の範囲には
│ │ 大小30個以上の銀河が集まっています
│ │
3次元座標 テロップ │11:53│Q この、銀河系を中止とした
│ │ 銀河の集団は局部銀河群と呼ばれていて
│ │ 主な銀河はそれぞれとの立体的な
│ │ 位置関係まで分かっています。
│ │
回転停止 │12:07│Q この集団の中で、ひときわ大きいのが
│ │ 銀河系とアンドロメダ銀河です。
│ │ 2つの銀河の距離は
│ │ およそ230万光年ですが、観測の結果
│ │ 2つの銀河の距離が
│ │ 短くなっていることが分かりました。
│ │ その早さは時速およそ50万キロという
│ │ ものすごいスピードです。
│ │
銀河衝突 │12:45│Q このままだと50億年後には
│ │ 銀河系とアンドロメダは
│ │ 衝突するだろうといわれています。
│ │ その結果、先ほどの
│ │ アンテナ銀河のような形に
│ │ なるだろうという予測もあります。
│ │
│ │
│ │Q 銀河は星の集団ですが、
│ │ それぞれの星の間は何光年も
│ │ 離れているので、集団といっても密度が
│ │ 低い、隙間だらけのかたまりです。
│ │ そのため銀河が衝突しても星と星が直接
│ │ ぶつかる可能性はとても低いと
│ │ 考えられています
│ │ 直接ぶつかる可能性が高いのは、
│ │ それぞれの銀河の隙間を埋めている
│ │ ガスやちり同士です。
│ │ ガスやちりがぶつかると
│ │ それをきっかけにして新しい星が
│ │ 爆発的に誕生します。
│ │ 銀河同士の衝突は、
│ │ 新しい形の銀河が生まれる
│ │ きっかけであると同時に、
│ │ 新しい星を生み出す
│ │ きっかけでもあるのです
│ │ 14:08
│ │
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│VTR 3 宇宙の大構造 │
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ハッブル・ディープフィールド │18:46│Q ハッブル宇宙望遠鏡など
│ │ 観測技術の進歩によって
│ │ 肉眼では決して見えない銀河まで
│ │ 観測することが出来るようになりました
│ │ ハッブル宇宙望遠鏡は、
│ │ 夜空の暗闇にしか見えなかった場所で、
│ │ 人間の目で見える一番暗い星の
│ │ 1/40億の明るさしかない銀河を
│ │ 色鮮やかに撮影しました。
UP PAN │ │ 10日間かけて342枚の画像を撮影し
│ │ それを合成して一枚の画像を作りました
│ │ この画像の中でもっとも遠い銀河は
│ │ およそ120億光年彼方のものです。
│ │
GS │ │Q このように観測技術が進歩したことで
│ │ 宇宙の全体像が少しずつ
│ │ 解き明かされようとしています。
│ │
膨張 │19:55│Q これまでの観測から、
│ │ 遠くにある銀河は、銀河系から
│ │ 遠ざかっていると考えられています。
│ │ そしてそのスピードは、銀河系からの
│ │ 距離に比例して、より遠くの銀河ほど
│ │ 早く動いていると考えられています。
│ │
銀河の移動 │20:18│Q 移動している銀河からでる光は
│ │ その速度によって色が変わって見えます
│ │
ドップラー効果 │20:30│Q 近づいてくるときの光は、
│ │ 本当の色よりも青みがかって見えます。
│ │ そして遠ざかっていく光は赤みがかって
│ │ 見えます。
│ │
│20:45│Q 銀河が遠ざかっていくスピードが
│ │ 速ければ早いほど、本当の色よりも
│ │ 赤みが強く見えます
│ │
スピード比較 │21:02│Q つまり遠ざかる銀河の色が、
│ │ 本当の色よりもどれだけ赤く見えるかを
│ │ 調べれば、その銀河の動くスピードが
│ │ 分かります。
│ │ そして銀河のスピードが分かれば、
データ │ │ その銀河までの距離を計算することが
│ │ 出来るのです。
│ │
立体地図 │21:19│Q このような方法で北の空のごく一部分
│ │ですが、立体的な銀河の地図が作られていま
│ │す。扇型の中心部分にある銀河系から6億光
│ │年先までの銀河一つ一つが黄色い点で表され
│ │ています。
│ │
│21:45│Q これを見ると宇宙には銀河が
│ │ ほとんどない、暗い空間があることが
│ │ 分かります。
│ │ 銀河は宇宙にまんべんなくあるのではな
│ │ く、暗い空間を包むように偏って
│ │ 集まっています。
│ │ この暗い空間がいったい何なのか、
│ │ 何もないのか、巨大なブラックホールが
│ │ あるのか、それとも今までに分かってい
│ │ ない全く新しい何かがあるのか、
│ │ ハッキリとは何も分かっていません。
│ │
サイディングスプリング│22:14│Q このような多くの謎に包まれた宇宙の
天文台│ │ 構造を解き明かそうと、南半球でも
│ │ 北の空で作られたような銀河の地図が
│ │ 作られています
│ │
望遠鏡 │22:33│Q 南の空では地上の望遠鏡が
│ │ 使われています。
│ │
│ │
│ │
南天の画像 │22:39│Q まず300万個の銀河が写された画像
│ │ から、空のどの部分の地図を作るか
│ │ 決めます。
│ │ そしてその部分にある一つ一つの
│ │ 銀河までの距離を測って北の空のものと
│ │ 同じような立体的な地図を作ります。
│ │ この数字はそれぞれの銀河までの距離と
│ │ 地球からの方向を表したものです。
│ │
3次元座標 │23:10│Q この数字を一つ一つ、コンピュータで
│ │ 立体画像に置き換えていきます。
│ │ コンピュータにはすでに1万個あまりの
│ │ 銀河のデータが蓄積されています。
│ │
地球〜立体CG │23:22│Q 地球を中心におよそ13億光年彼方
│ │ までの銀河が立体地図に表されています
│ │ まだ未完成の地図ですが、
│ │ だんだんと銀河の並び方が
│ │ 見えてきています。
│ │ この地図が完成したら、南の空にも、
│ │ 北の空にあったような暗い空間や、
│ │ 偏った銀河の集まりが
│ │ 見つかるのでしょうか。
│ │ 何万個という膨大な数の銀河を
│ │ 一つ一つ調べて、果てのしれない
│ │ 宇宙の中ではほんの一部分ですが
│ │ その全体像をつかもうと、
│ │ 今も研究が続けられているのです。
│ │i 24:12
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