NHKジュニアスペシャル 第25回「超新星爆発」VTR台本 PD:矢野
V1 超新星爆発?巨大な星の死 7'28"/11'51" 爆発 11 ラスカンパナスロング 3 職員ZB 11 望遠鏡の整備 9 大マゼラン雲ZI 18 1987A白黒写真 21 写真・爆発前と後 9 写真・明るく輝く星 10 写真・爆発前 12 写真・明るく輝く星 10 CG・爆発 15 CG・青い星の中心へ 12 CG・水素からヘリウムへ 23 CG・赤く膨らむ 13 CG・ヘリウムから炭素・酸素へ 14 CG続き・鉄が生まれる 14 CG・層になった星の内部 23 CG・鉄が分解→中性子星へ 46 CG続き・ニュートリノ発生 12 CG・衝撃波拡がる 16 CG・爆発 26 1987A写真 9 神岡観測所・地底へ 3 水槽に近づく人 11 光センサー・ロング 16 ルーズ 7 アップ 12 CG・地球を貫通するニュートリノ 20 CG・水の中を通り抜けるニュートリノ 9 ニュートリノのグラフCG 14 (爆発音) Q地球から16万光年彼方で、ひとつの巨大な星が、壮烈な死を遂げました。 Q南米チリ・ラスカンパナス天文台、1987年2月24日。はるばる地球に届いた爆発の光はここで最初に発見されました。 Qその夜天文台では、いつものように、日課の基礎的な観測を行っていました。 Q望遠鏡が向けられた、大マゼラン雲。私達の銀河系のすぐ隣りにある銀河です。観測中は、特に変わった様子には気づきませんでした。 Qところが、現像された写真を見てみると、見慣れない明るい星が写っていました。巨大な星の死、超新星爆発という大事件が、偶然記録されていたのです。 Q左側の写真に現れた小さな光の点。肉眼で見えるほど近くで超新星が観測されたのは、実に383年ぶりのことでした。その年最初に発見された超新星という意味で、1987Aと名付けられました。 Q爆発する直前の星の姿です。爆発後、最も明るくなったときには、太陽の2億倍もの明るさで輝きました。 Q世界中の天文学者が一度見たいと待ち望んでいた、天文学上の大事件でした。 (爆発音) Q超新星爆発を起こすのは、太陽の7-8倍以上のとても重い星です。 Q星の内部では、その誕生から死の直前まで、水素の原子核同士が結びついて、ヘリウムへと変わっていきます。 Qこのように物質の原子核が結びついて別の物質に変わることを「核融合反応」と言います。この時生まれる膨大なエネルギーが、星を輝かせるのです。 Q中心の水素がなくなると、星は晩年を迎えます。赤く大きく膨らみ始め、直径は太陽の百倍以上にもなります。 Q水素を使い果たした中心では、へリウムが核融合を始めています。互いに結びつき、炭素、酸素など、より重い物質に変化していきます。 Q星の中心はそれにつれて、どんどん温度が上昇していきます。そして最終的には、これ以上反応を起こすことのできない、鉄が生まれます。 Q爆発が間近い、重い星の内部です。タマネギのような層ができていて中に行くほど、重い物質がたまっています。 Q主なものだけでも7-8種類。地球や生命の基本材料も含まれています。 Q中心の温度は上がり続けるのに、鉄は核融合反応を起こしません。 Qそしてやがて、50億度の超高温に 達すると、鉄はバラバラに分解されてしまいます。 Q星は中心に向かって、ものすごい勢いで潰れていきます。中心部分は、1立方センチあたり、10億トンという、想像を絶する密度にまで押し潰されます。 Qそのとき、おびただしい数のニュートリノが放出され、続いて衝撃波が生まれます。 Qすさまじいエネルギーを秘めた衝撃波が、星の表面に伝わっていきます。 Q表面に達した衝撃波は、一気に星を爆発させます。超新星爆発の瞬間です。 Q炭素、酸素、鉄‥。星がその生涯に作り上げた様々な物質が、宇宙空間へと拡がっていきます。 Q超新星発見のニュースは世界中を駆け巡りました。 Qところが意外にも、ラスカンパナス天文台よりも早く、日本の観測所が、爆発の瞬間のすさまじいエネルギーを、捉えていたことがわかりました。 Q地下千メートルにある、神岡地下観測所。ここの主役は、望遠鏡ではなく、大量の水です。 Q直径16m、深さ16mの巨大な水槽の内側に、超高感度光センサーが 1000個も取り付けられています。この光センサーが、超新星からやってきたニュートリノを検出したのです。 Qニュートリノは他の物質とほとんど反応しないので、地球を突き抜けて、この水槽を通過していきます。そして、その中のごく一部が水の粒とぶつかってわずかな光を放つのです。 Q超新星1987Aからやってきたニュートリノは、16万光年の距離を飛び続け、地球に到達しました。 Qそして地球を貫通すると、再び宇宙空間へ飛び去っていったのです。 Qエネルギーの高いニュートリノが、13秒間に11個も検出されていました。 Qこれは、爆発のエネルギーが、太陽が46億年かけて出したエネルギーの、実に千倍だったことを示していたのです。 V2 死から再生へ、そして生命 4'24"/25'30" アンドロメダA 14 CG・重なり合う星雲 22 CG・拡大・渦を作る星雲 18 CG・いくつかの円盤 12 CG・吹き出すガスCG 12 CG・灯がともった星 12 ワシ星雲ロング 9 ワシ星雲アップ 13 オリオン座ZI 7 →オリオン大星雲ZI 6 →原始惑星系円盤ZI 28 CG・太陽系 19 マーチソンロング→パン 12 写真・隕石を持った女性 14 隕石アップ 7 Q超新星爆発の後、どのようにして新しい星は生まれるのでしょう。 Q星雲の中には、水素、ヘリウム、炭素、酸素、鉄など、星が作ったあらゆる物質が含まれています。 Q変化はゆっくりと始まります。いくつかの星雲が重なり合って、次第に濃くなっていきます。 Q星雲は、互いに混じり合ったり離れたりしながら、密度の高い渦を作っていきます。 Q渦の中心では次第に重力が強まって、周りのガスやちりを引き寄せ 星が、少しずつ成長を始めます。 Qやがて、星雲の中のあちこちで、原始星が姿を現します。 Q引き寄せられたガスやちりは、円盤状になって周り始めます。円盤の回転が激しくなると、ガスの一部は1秒に数十キロものスピードで上下に吹き出します。 Qやがて核融合反応が始まり、円盤の中心が明るく輝き始めます。新しい恒星が誕生しました。 Q星の誕生の現場を見てみましょう。M16ワシ星雲。この中で今まさに星が生まれようとしています。 Q柱のようにのびた雲の先の、小さな突起は、ガスが特に濃くなっている場所。この中に星の卵が入っているのです。 Qこちらはオリオン座です。中央でひときわ明るく輝くオリオン大星雲。この中で成長している星は、やがて私達の太陽のように、惑星を従えた恒星になると考えられています。 Q西瓜の種のように黒く見えるのが原始惑星系円盤。中心の赤い点が原始星。周りの黒い部分は、渦巻くガスやちりの円盤です。 Qこのガスやちりがやがて固まり、地球や木星のような惑星になると考えられています。 Q私達の太陽系の歴史も、同じように星雲の中から始まりました。 Qそれから46億年という長い時間をかけて、現在に至っているのです。 Q出来始めの頃の太陽系の姿を知る上で、とても重要な手がかりがあります。それは、時折空からやって来る隕石です。 Q1969年9月、オーストラリアのマーチソンという町に、突然たくさんの隕石が落ちてきました。 Qこの隕石は、超新星爆発でできた太陽系の材料が、そのまま固まったものでした。 実験2S 2 フラスコ 3 コンピュータに向かう 3 アミノ酸のグラフ 7 隕石ZI 23 CG・原始地球 12 落下→マグマ→雨→海 13 バクテリア→魚→花→シマウマ→ヒト 19 Q水や炭素、またそれらの組み合わせでできたアミノ酸など、生命に欠かせない物質も検出されたのです。 Q隕石は、様々な情報を載せて、長い間、宇宙空間を漂い続けてきました。 Qそしてある日、地球に落下し、私たちに太陽系の生い立ちを教えてくれたのです。 Q宇宙空間で作られた様々な物質が、原始地球を作り、生命が生まれるための下準備ができました。 Q地上ではやがて、ゆっくりと物質が変化を始めました。こうして、生命の誕生へと連なる歴史が、幕を開けたのです。 Q水の惑星地球を作り、私たち生命を作り出したのも、元をただせば およそ50億年前に爆発した、巨大な星の死だったのです。