地球と太陽系の年齢


 原始太陽系星雲から固体粒子が凝縮した、最初の段階の物質が、Allende隕石 などの炭素質コンドライトに含まれる、白っぽい包有物:CAIと考えられて います。(CAI:Ca-Al rich inclusion)これは、析出温度が高い化合物の 集まりなので、原始太陽系星雲の温度低下の際に最初に析出するだろう、とい う理屈です。実際に年代も古く、45.66億年を示すようです。これが太陽系で最 古の確実な年代値です。

 固体微粒子が集合して微惑星をつくり、それが衝突合体してより大きい微惑 星(隕石母天体)をつくります。それが、さらに集合合体して、地球のような 大きな惑星が完成する。

 コンドライト形成(=微惑星段階)年代は、この45.66億年からわずか0.08億 年(800万年)の間に集中するようです。それが微惑星を形成する段階。そして、 惑星形成になるのですが、最古の溶岩の隕石の年代(原始惑星表面での火山活 動を示す)が45.39+/-0.02億年。すなわち、45.4億年前には小さいものでは惑 星のかたちができつつあったのです。

 地球の場合は、サイズが大きいこともあり、完成には時間がかかったようで す。現在のところ、45億年前ちょうどくらいにジャイアントインパクト→月の 形成、そして地球の集積・層構造の形成の完了は、44.5-44.6億年前と推定され ています。これは、鉛同位体の詳細な検討と、消滅核種であるヨウ素129の壊変 によるキセノン129の同位体比異常(過剰)の証拠があるようです。

 したがって、地球の形成(完成)にはおよそ1億年程度の時間がかかってい る、といえそうです。


参考:Plate tectonics and Crustal Evolution(4th ed.) K. C. Condie(1997)

 この教科書は、太陽系初期史の専門書ではありませんが、第7章で扱ってい ます。8000円くらいで手に入ります。非常に膨大なデータを詰め込んでいます が、整理よくテクトニクスや地球史関係の情報がまとめられていて、定評のあ るものです。


 1998.9.2 萩谷 宏

石からわかること

地球史

indexに戻る