炭素質コンドライト 2


炭素質コンドライトの特徴 …始源的な組成、非平衡な鉱物組成、不均一。

 Allende隕石(CV3)

 炭素質コンドライトは、隕石の中でも、その化学組成が太陽スペクトルの分光観測などから推定された、 太陽の元素存在度に近い値を持ちます。さらに組織も非常に不均質で、鉱物化学組成なども非平衡であることから、 もっとも原始的な、分化していない隕石であると考えられています。

分化とは

 太陽系の初期に微惑星がたくさんできて、それらが衝突合体成長して、惑星ができていきます。 微惑星の化学組成は、地球軌道付近に限ればほぼ均一で同じものと考えていいのですが、 惑星を作る段階で惑星は成層構造を持つようになるので、化学組成は均一ではなくなります。 具体的には、中心に金属鉄を主とする核が形成され、その外側に岩石が取り巻く構造ができます。 岩石部分も高温になるので、あるいはいったん融けて火成岩になり、融けなくてもある種の変成作用で、 鉱物の化学組成が高温での平衡を示すようになる。こうして、微惑星が合体集合して惑星へと成長していく過程で、 惑星を作る物質の化学組成は、その場所にあったものになっていくと考えられます。
 その化学組成の特殊化の進行を、分化(differentiation)という言葉で表現しています。

隕石と微惑星、小惑星

 現在では、太陽系初期にあった微惑星は地球付近には存在しません。ときどき太陽系の遠くの位置からやってくる彗星が、 太陽系形成時から残っている、ある種の微惑星に相当する、という考えもあります。 しかし、地球軌道付近に存在した微惑星は地球を作るためにすっかり消費され、残っていません。 では、いまでもときどき落下する隕石は、いったいどういうものかというと、それはいったん惑星を作ったものが、 壊されて、破片となって降ってくるものなのです。隕石の大部分が小惑星の破片と思っていいようです。

 ですから、鉄隕石は、かつて存在した(小)惑星の中心部分を構成していた破片、石質隕石は、より浅いところを構成していた岩石、 そして石鉄隕石は、その中間と考えていいでしょう。実際には、隕石の起源は多数の(小)惑星にあるようですので、単純ではありませんが。

初期太陽系の化石

 石質隕石の中で、炭素質コンドライトは、不均質(未分化)なまま、太陽系初期の化学組成を保持している、初期太陽系の化石とも言える存在なのです。 それを調べることで、地球や、他の惑星を作った材料について、より詳しい考察をすることができます。

 このタイプの隕石は、大量の水をその中に含んでいます。マーチソン隕石は重量で16%もの水を含水鉱物のかたちで含んでいました。 また、アミノ酸も見つかっています。生命の起源について、何らかの情報を持っていると考える人々もいます。 太陽系初期史を語るものとして、地球型惑星の起源を考える材料として、炭素質コンドライトは大きな役割を果たしています。


Allende隕石

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