ビッグ・バンの残照


星も何もない空には

 宇宙の遠くの天体を観測することは、宇宙の昔の姿を見ることになります。 では、宇宙の果てを見ることができれば、それは宇宙誕生の姿を見ていること になるのでしょうか。

 夜空に星のない部分が見えるとすれば、それはビッグバンの背景放射の部分、 すなわち宇宙の誕生のすがたをみていることになります。実際には、電波として ”見えて”います。そしてそれは宇宙のあらゆる方向に観測されます。

 どうして、電波としてビッグバンの痕跡が見られるのか、ですが…

 目に見える光や、目に見えない光、例えば紫外線や赤外線、そしてX線や電 波は、電磁波というエネルギーを伝える波のようなものです。その波長が短い と、X線や紫外線、可視光線といった”光”になり、波長が長いと電波になり ます。

 物体は、すべてその表面温度に応じた波長の電磁波を放射します。太陽が明 るいのは、表面が高温だからです。地球は自分では光っていないわけですが、 でも赤外線の波長では光っていて、気象衛星が夜でも雲写真を撮影できるわけ です。
 地球がもっと低温だったら、赤外線も放射せず、電波だけで検知できる天体 になるのでしょう。

 ビッグバンの超高温状態は、宇宙の膨張で、あっという間に温度が下がって しまいます。けれども、まだ温度というか、余熱がわずかに残っていて、それ が絶対零度よりも3度だけ温度としてある、3Kの黒体放射と呼ばれる、宇宙 の全方向からやってくる電波なのです。


 1999.8.21 萩谷 宏(改訂中)

石からわかること

読み物・資料集

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