「武蔵野台地をあるく」ゼミナールの趣旨


 大学では様々な科目を学びます。都市でも建築でも、地盤や材料や水の流れを学び、基礎としての物理や化学や数学も学びます。けれども、それらの机の上の勉強だけでは身につかない能力もあります。それは、「ものを見て情報を読み取る能力」です。

 小学生が昆虫採集などで、採集物を図鑑とにらめっこして名前を覚えるように、自然物を識別する能力というのは、学校の勉強というよりは経験の蓄積と興味・関心の継続が鍵となります。地形や地質を見て、その成り立ちを読み取り、そこで起こりうる災害や危険を予測し、対策を考える能力を身につけるには、これと同様に現場での経験の蓄積と興味・関心の継続が重要です。

 というわけで、大都市・東京の土台である、武蔵野台地の姿を、自分の足で歩きながら観察し、地形や地質の成り立ちを学ぼう、というのがこのゼミナールの趣旨です。

 風景には奥行きがあります。どんな景色にも、その成り立ちには、自然や、そこに暮らした人々の歴史が隠れています。それを少しずつでも読み解けるようになれたらいいな、と思っています。


「武蔵野台地をあるく」ゼミナール

index

H.Hagiya (c)2005