2005年度・「武蔵野台地をあるく」ゼミナール

作成:萩谷 宏


 等々力渓谷と地下水、谷頭浸食、河川の争奪。

2005.10.11 室内講義内容

 武蔵工大付近の地形。10mメッシュの数値地図を使用。等高線は2mで10mごとに太い線で表現している。環状8号のあたりの高度30m程度の平坦面が武蔵野面(M2)。田園調布周辺の40m以上の面が下末吉面(S)。

 多摩川沿いの低地から、台地に虫食い状に食い込む谷がわかる。地下水の湧出に伴う谷で、このような侵食を谷頭浸食(こくとうしんしょく)と呼ぶが、武蔵野台地にはしばしば見られる地形である。等々力渓谷はこの谷頭浸食の谷が九品仏川方向への川の流れに到達し、川の水を多摩川方向にバイパスして流してしまったために、深く谷が削られてできた。本来は九品仏から自由が丘方向に流れていた川の上流部を奪う形になった。このような複数の河川による水の奪い合いを河川争奪という。

 等々力の地名は、地下水が湧出して流れ落ちる(轟く)音に由来するといわれるが、湧水が谷をつくり、そしてその谷が成長して台地上を流れていた河川の水を奪って最短距離で多摩川に流すようになり、等々力渓谷ができた。それはおそらくここ1万年以内に起きた事件である。等々力渓谷の谷沢川の河底面は急な傾斜を持っていて、現在も侵食は継続中である。充分に渓谷の底が彫り込まれると、側方の侵食が進み、おそらく数万年後の等々力渓谷は幅広い谷に姿を変えることになるだろう。


 等高線は10m間隔。ここでは40mの等高線がS面、30mがM面にほぼ相当する。多摩川低地は10m前後。(説明作成途中)

#このページの図は国土地理院の数値地図10mメッシュをカシミール3Dで表示し加工した。


2005武蔵野台地をあるくゼミ

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