地学 期末試験問題(2004年度前期)萩谷出題

 

以下の問題111に答えよ。解答は、各問3行程度を目安として、解答用紙に記入すること。

必要があれば裏面に記入しても構わない。問題用紙の提出は不要である。

 

1.太陽系・惑星の形成について情報を得る具体的な対象・解析方法について、ひとつ例を選び、簡潔に説明せよ。なお、以下のキーワードを参考にしてよい。

 キーワード:隕石、原始惑星系円盤、オリオン大星雲、惑星、衛星、実験、数値計算

 

・隕石の中には太陽系の初期、原始惑星系円盤の形成時の情報を鉱物の中に保存しているものがあり、その隕石から鉱物やガスの分析を行うことで情報を取り出す。

・オリオン大星雲には現在形成中の原始惑星系円盤とみられるものがいくつも観測されている。このような天体の詳しい観測から、太陽系形成時のさまざまな段階の状態を推定することができる。

・衛星は天体のサイズが小さく、形成後の変動をあまり受けていないため、衛星の地質を調べることは太陽系の初期にどのようなイベントが起きたかを知る手がかりとなる。例えば月面の地質学から隕石重爆撃期の存在が推定された。

・数値計算により理論的に太陽系の初期の状態を復元する研究がなされている。

・クレーター形成について、高速のガス銃をつかった実験により現象を再現した例がある。

 

2.アポロ計画の後半、宇宙飛行士たちは地上で野外地質学の特訓を受けたが、それによってどのような能力が身につくと期待されたのか。月面での探査内容をふまえ簡潔に説明せよ。

 

・月面において役に立つのは、訓練された目と判断力である。宇宙飛行士は自分たちが採集するサンプルや記録する地質学的状況の意味を知り、その結果、月面における地質学的情報を余さず記録し、情報を読みとるのに正しい方法で必要なサンプルを採取し、あるいは観察する月面の状況を正確に記述することが期待された。

 

3.地球の大気の変遷について、生物進化の歴史をふまえて、その概略を説明せよ。

 

 

4.化石燃料のひとつについて、大量に形成された時代と、その形成に関わる大陸配置、気候など地表環境条件、関係する化石生物など、地質学的な時代背景を説明せよ。

 

5.第四紀の氷期−間氷期サイクルは、人類の進化と発展にどのような影響を及ぼしたか。簡潔に説明せよ。

 

6.地球環境問題に関連して、以下の項目a)b)c)のいずれかを選び、簡潔に説明せよ。

 

a)南極地域の生物からPCBなどの人工化学物質が検出される理由

b)古代文明の発展と荒地化・砂漠化の関係

c)地球温暖化問題とヒートアイランド問題の違い

 

7.せきつい動物の進化について、化石や地層の証拠からどのようなことがわかっているか。以下の項目a)b)c)のいずれかを選び、簡潔に説明せよ。

 

a)殻を持つ生物の出現と最古の魚類

b)陸上生活への適応

c)恐竜の進化と絶滅

 

8.自然災害には一般に周期性があるが、日本における様々な自然災害の中から例をひとつえらび、その周期性と被害の関係について説明せよ。

 

9.地球上の水の循環(地下水を含む)によって、われわれはどのような恩恵を受けているか。具体例を挙げて説明せよ。

 

10.東京の地質のなりたちを簡潔に説明せよ。(日本列島の形成について述べても構わない。)

 

11.「地学を学んでも日本に鉱山はないし、お金にならないから学ぶだけ無駄である。地学を大学で教える必要などない」という意見がある。これに対し、君はどのように考えるか。肯定または否定の立場のいずれかから議論を展開せよ。

 

(以上)