2003年度地学

武蔵工大・工学部 都市基盤工学科、建築学科 専門基礎科目


7' 地球温暖化  …大量消費文明の限界

 われわれはどこから来たのか 第8回

2003.6.3 地学#07' 萩谷 宏


キーワード:化石燃料 二酸化炭素濃度 温室効果 地球温暖化 気象災害

地球史と大気組成の変遷
 初期大気…二酸化炭素主体
 →海洋への溶解・石灰岩形成と生物の光合成活動で減少
 中生代の大気 現在の数倍の二酸化炭素濃度 "温室地球"
  二酸化炭素濃度が問題であるわけではない。人類による急速な変化こそが問題

文明の特質
 生態系を、人類に都合のよいように作りかえて生産性向上 …農耕、牧畜
 多くの人口を支える食料生産 …一方で気候の変化に弱くなる
 便利で快適な文明生活の裏側
  化石燃料の大量消費 温室効果気体の放出、…地球温暖化、各種の汚染
 都市での地面被覆率の増加、放熱源の増加 …ヒートアイランド現象など
 人類は自然システムの恩恵を最大限に利用している存在である
  先進国の問題、途上国の問題(自給自足経済の破壊)

いま問題なのは、温暖化か、寒冷化か
 北大西洋・グリーンランド沖での表層水の沈み込み…深層流の起点
 深層流:気候の安定化に果たす役割が大きい。2000年で地球を一周
 問題:温暖化により、北大西洋での氷山の融解増加…沈み込み量の減少…氷期へ?

地球温暖化
 温室効果気体: 二酸化炭素、水蒸気、メタン、NOx、SOx、フロン、…
 過去の大気の記録:アイスコアによる分析
 氷期になぜ人類が文明を持ち得なかったのか →後氷期の気候安定と農耕の関係

 温暖化がもたらす災害
  海面上昇、気象災害の増加(台風、冷夏など)、降水量分布の変化(洪水、干ばつ)
  食料生産への影響 持たざる国の問題
 (関連した問題、オゾンホール、大気大循環システムによる汚染物質の拡散)

VTR:
・デジタル教材「南極」#3「融ける氷が地球を覆う」
・地球大紀行DVD特典映像#8「気候安定装置の危機」、#12「知、そして未来へ」

参考書:
・どうする地球環境−1億人の科学14 日本化学会編 大日本図書 \1553
・ワールドウォッチ研究所・地球白書 レスター・ブラウン編著 家の光教会 \2600

講義データ
http://www.chemie.org/geo/


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