出席カードに書き込まれた質問(11/26火曜2限)

2002後期第9回(陸上の生態系)

VTR:ジュニアスペシャル#13「昆虫たちの情報戦略」、地球大紀行特典映像#6「陸上生命圏の成熟」

 

講義内容の要約例青字…加筆、赤字…訂正)

*森林の生態系は生産者、消費者、分解者の三者で形成される。雨は森を育て、森はまた雨をつくり、他にもさまざまな役割を果たし地球を守っている。昆虫は陸上植物とほぼ同時に上陸した。(0116003)

*原始の森では川で背骨を持った生物が生まれ、肺をもち、陸に上がって(陸上のさまざまな)セキツイ動物へと進化していった。また、風媒をおこなう裸子植物だらけの森林でさまざまなハ虫類や恐竜が生まれ、植物は花や果肉をもつようになり、昆虫とともに進歩していった。(0116009)

*森の木は光を得るために上へ上へ、横へ横へと背を伸ばし、葉を広げていった。また森に生息する昆虫であるハキリアリは1年間に1tもの葉を切り出し、その葉を腐らせ、そこに菌を植え付け、そこから食物を得ている。森は生き物の生産、消費、分解によって形成されている。(0116041)

*森林により土壌は形成される。森には、生産、消費、分解の3つがうまくサイクルし、森林生態系をつくりだしている。土壌は、その3つのひとつでもかけるとバランスを崩し、土壌は壊れてしまう。森の形成には時間がかかり、同じ森でも森の年齢がある。発展した形を極相林という。(0116069)

*森林には太陽光を吸収したり、水の循環システムなどの大きな役割があり、地球システムには欠かせない。昆虫は生きる環境に適した機能を備えている。(0116095)

*森林の効果は太陽光の吸収率が大きいこと、湿度保持、冷却化。光がなくて少なくても育つ木はゆっくり成長生長していき、最終的には光の必要な木をおおい、滅ぼしてしまう。昆虫は世の中で一番種類が多い。

 

主な質問と回答

*生物が周りの環境に合わせて進化していったのはわかりますが、植物についてはよくわかりません。花が誕生して、昆虫が好きな花粉やみつで虫をおびき寄せ、運び屋をやらせるようになったとありました。ということは、植物にも考える力があるということですか。それとも、たまたま虫が花粉を好きだったということなのですか?

#進化は意志を持って進むのではなく、適者生存・自然選択のしくみで進むということです。具体的に、どのようにしてその能力を身につけていったのか、それは神の目で見ないとわからないことでしょうけれど。本当に進化は不思議ですね。

*色の付いた昆虫の化石が不思議でした。なぜ色がついたりつかなかったりするのでしょう?

#普通は色素による色は残らないのですが、甲虫の場合などは、干渉色といって、薄膜干渉(ニュートンリングのしくみ)で構造的に色を出していて、その構造が残っていると色が出ます。かなり特殊な例だと思います。

 

感想・意見

*先生の話で「帰化生物(種)」の話がでてきましたが、私はいま事例研究で帰化生物について研究しています。小笠原の島で起こっているヤギの食害の問題で、「仲人島」という島が、植物を食い尽くされ、土壌が流出している写真を見たのですが、本当に一面茶色でとても衝撃を受けました。帰化生物の増加の要因は人間によるものがほとんどであり、特に、ほとんど規制や法律がない日本の現状に、もどかしさを感じています。また、人が全く手をつけていない原生林には帰化生物が住みつくことはないそうです。それは、人の手が加わった自然ほど、帰化生物が住みやすいからなのです。

#なるほど、校庭に帰化植物が多いという話と一致しますね。でも、原生林だけだと良いかというと難しくて、やはり動植物の移入に対するある程度の柔軟性というのはあってもいいのかも知れません。人為的要因でそれが全体のバランスを保てないほどひどく急速に起こっていることが問題なのでしょう。