出席カードに書き込まれた質問(10/29火曜2限)

2002後期第5回(大陸と変動帯)

VTR:ジュニアスペシャル#5「巨大山脈の誕生」、地球大紀行DVD特典映像#5

地殻のの字の誤り多し。地殻は地球の殻(から)であって穀物じゃありません。

 

講義内容の要約例青字…加筆、赤字…訂正)

*山脈のできかたは、2つの大陸の衝突(衝突型造山帯)してできるものと、プレートが沈み込んでできる(沈み込み帯)とがある。ヒマラヤも日本列島も、プレートの移動によって生まれた巨大山脈である。(0116077)

#日本列島は「海水を取り去れば巨大山脈に見える」ということですから、一言付け加えてください。

*さまざまな山脈の誕生は、巨大な大陸同士がぶつかりあい、比重の小さいものが沈み込むことができず、隆起することによる。(0116090)

#比重の小さいもの=大陸(地殻)ですね。

*ヒマラヤ山脈やアルプス山脈は2つの大陸が衝突し、海の中の地層が盛り上がってできた。アンデス山脈は固い南アフリカのプレートの下にやわらかい海洋のプレートが沈み込む時にマグマの冷えたものが蓄積してできた。(0116099)

#沈み込むプレートとともに、水分の供給と、堆積物の融解があって、そうしてつくられたマグマが上側の南アメリカ(アンデス)の地殻に供給されているわけです。

*プレートが作られる分、プレートは沈み込んでいて、そこでも地殻の変動(山脈がつくられる)が起きている。(0116100)

#前回と合わせるとそういうことです。

 

主な質問と回答

*日本がどんどん高くなっていくことはないのでしょうか?

#浸食と隆起との競争ですので、これ以上、そう簡単に高くなるとは思えません。ただし、北米大陸と衝突するようなことがあれば、高くなるかも知れません。

*前期の授業でヒマラヤ山脈は海中の地層が隆起したと聞いて、今年の夏チベット高原に行った時に貝の化石かなにか見つけられるかと思ったが見つけらませんでした。チベット高原自体は大陸が衝突する前にすでにユーラシア大陸の上に位置していたのでしょうか。

#ユーラシアの一部であるのはその通りですが、チベット高原にも古生代の海の地層があったと思います。化石が見つからなかったのは残念ですが、良い経験をしましたね。

*一度できた山脈は二度と崩れないのですか?山脈は増え続けるのですか?

#あるところで沈み込み(と大陸の衝突による重なり)が止まり、隆起も止んで、浸食によりだんだん低いなだらかな山脈になり、最後には平坦になります。だから山脈だらけになるわけではありません。

6500年前にアンモナイトが絶滅したのはどうしてですか?

#わかりません。同時期に海の生物の90%が絶滅したといわれていますが、一方でオウムガイなどは生き残っていますし。海洋の環境変動が重要だと思われていますが、その原因には諸説あります。隕石衝突もその一つ。

*大陸というものが最初に形をなしたのはいつごろ?

#早ければ44億年前にはできた(鉱物の証拠)。当時の花崗岩が残っているので遅くとも40億年前にはあった。

*地球の表面積は一緒ということだがどうして?

#地球が膨張・収縮しているという証拠がない。少なくとも現在はGPSなどで測量されていて一定。

*太平洋プレートが動いていてハワイなどはいつ日本にぶつかるの?

#年間10cmとして、ハワイと日本の距離を割ってみてください。

*なぜインドだけがこんなに移動したのか?

#良い質問ですね。いまのヒマラヤの位置にテチス海という海があって、沈み込みでその海が消滅するのに引っ張られたという考えが有力です。

*今度山脈のところで分裂が起きたらどうなるのか

#多分ちぎれると思いますが、山脈のところは割れにくいので、そこを中心に回転しながら開くかも知れません。

*日本の南アルプスでも海の生物の化石は見つかりますか?

#出るそうです。標高2000mのところで第四紀初期の貝化石が出るらしいし、赤石岳のあたりが赤いのはジュラ紀の放散虫チャートの色らしいです。

*大陸3つによる大陸衝突でつくられた山脈はないのですか?

#具体例は思いつきませんが、中国などはいくつもの大陸塊が古生代にぶつかってできているので、たぶんそういうものがあると思います。

*プレートの移動は等速ですか?

#ほぼ等速のようです。太平洋プレートのように大きなプレートの場合は。

*上海などでは超高層の集合住宅がありますが、日本でもそんな高層住宅があって、変動帯であることを考慮して建てられていれば、先生は住みたいと思いますか?(僕は自然の力なんて計算でわからないと思うので住みたくないです。)

#僕は土があって植物に囲まれたところで生活したいですね。それが本当のぜいたくだと思います。計算で予測できることはあるけれど、自然を見くびってはいけなくて、常に我々が知りうる範囲の限界を意識して欲しいです。謙虚さを忘れたところに災害が引き起こされるように思います。

*プレートと普通の大地(表面)とは密度など質に違いがあるのか?

#前期の内容ですが、表面に近いほど密度が小さい構造を持っています。地面付近のローム層で密度が1.5-2g/cm3ですが、地殻は2.7-3.0g/cm3、マントルで3.0-3.4g/cm3です。プレートの表面で我々は生活しているわけです。

山脈山の断面の地層がくねくねと曲がっていましたが、あの鋭いカーブはつくられる時にどんなにやわらかいじばんだったのでしょう。途中で折れてしまいそうですが…。

#良い質問です。海底まだやわらかい地層だった時に地滑りで畳まれてできた可能性があります。あとは地下深くでゆっくり変形したか、どちらかですが、海底地滑りの可能性が高いと思います。

*プレートの沈む方向は変わるのですか?

#良い質問です。変わります。沈み込み帯の消滅や、新たな海嶺の誕生によって変化します。

*もし海の水が減ったら日本の国土は上がりますか?

#意味がよくわかりませんが、相対的には海面から上昇することになります。

*南極の氷が溶けていると聞きましたが、この先の日本に何か影響しますか?

#ここ数十年は、それほど大きな変化にはならないでしょう。海面上昇より気候変動の方が怖い気がします。

*大陸プレートが何枚もあるなら、地球が楕円になったりしませんか?

#どういうことを指しているのですか?楕円とは?衝突で高度8kmの山脈ができても、地球半径の0.1%ちょっとにしかなりません。赤道半径と極半径の差が20kmありますから、それと比べても小さいですね。

*アンデス山脈と富士山では、同じ高さでは気温や気圧などは等しいのですか?

#アンデス山脈の場所にもよりますが、例えば赤道直下であれば、気温は富士山の山頂より高くてもおかしくないですね。気圧は基本的には同じはずですが、やはり気温や気候の影響は多少受けると思います。

*黄金柱や百枚皿の形が興味深かった。なぜ、あのような形になるのですか?

#鍾乳洞でできる柱は、鍾乳洞を流れる石灰分を溶かした地下水が同じところから滴り落ちると、その落ちる天井側と、地面の側の両方で石灰分の沈澱ができて、それぞれ鍾乳石と石筍ができます。両者が成長していくと、上下からつながってしまい、さらに沈澱が続けば、太い柱になります。百枚皿は、詳しくはわかりませんが、水があふれ出す縁のところに石灰分が沈澱するためにできた構造だと思います。

*ヒマラヤ山脈が大きくなったということは、地球は大きくなっていくのですか?

#いえ、インドとユーラシアが短縮した分、ヒマラヤが高くなっているのです。だから地殻の量はほぼ一定。

*日本が沈み込むことはあるのですか?

*日本がいずれ日本海溝に沈むと聞いたことがあるのですが本当ですか?

#日本列島も軽い大陸地殻でできているので、マントルの上に浮いています。浮力からいって沈むのは無理です。

*ヒマラヤ山脈の他にも、高くなっている山脈はあるか?

#厳密には測量しないとわかりませんが、急峻な山脈はだいたい隆起しているものと考えていいと思います。浸食との追いかけっこで山脈の高さが決まり、急峻だということは浸食が追いついていないということですから。

*大陸が衝突する時の衝撃はどのくらいですか。衝突する瞬間は地震が起きるのか

#衝突する瞬間というのは、どういう状態を指すのですか。大陸の衝突は、開始から終了まで数千万年かかると思います。ある意味で、いまでもインドのユーラシアへの衝突は続いていて、それが中国の内陸巨大地震を引き起こしていると考えることができます。

*ずっと先にはインド大陸はユーラシア大陸の中にすっぽり入ってしまい、インドはなくなってしまうのですか?もしそうなってくると1万mをこえる山も出てきますか?

#インドの北上はそろそろ限界だと思われています。なくなることはないでしょう。アイソスタシーや、岩石の強度からいって、1万mを超える山は難しいと思います。

510億年たつと安定大陸になるということは、10億年前にできた日高山脈のある北海道は日本列島本州よりは地震が少ないということですか?

#日高山脈ができたのは、たかだか2000-3000万年前です。まだ若い山脈ですから急峻です。地震は、どちらかというとプレートの沈み込み境界の方が頻度がありますから、山脈とは関係ないですね。古い巨大山脈というと、アパラチア山脈(4億年前)、ウラル山脈(6億年前)がすぐに思いつきますが、これらは確かに現在地震が少ないところだと思います。

 

感想・意見

*プレートの話は中学・高校とくどいくらいに聞かされてきた話なので、目新しい知識もなく、あまりつまりませんでした。

*ビデオで説明されるとすごくわかりやすい

*ヒマラヤ山脈ができる過程が本当にすごいと思った。

*「ここは昔、海でした」というような発言は間違っていることを知り、驚いた。その説明はわかりやすかった。

#自然を人間の物差しで測ってはいけないということですね。自然には自然の論理がある。

*いままで山や洞窟など観光名所としか見ていなかったのですが、この山や洞窟なども地球規模のプレートの動きなどでできたものだと思うと、今まで以上にそういった観光名所も楽しめると思いました。

*先生の「ココ」の説明にはっとした。地球は生きていて、特定することはおかしなことだということが。。。

*アルプス・ヒマラヤといった世界的に有名な大山脈は大陸の移動によってつくられたもの。このようにして地球大陸は現在も移動し続けている。これは、我々が地球に生存している限り避けることのできない現象であり、地面からの巨大な力を考慮した上で、建築設計をする必要があると思う。

*日本列島ができあがるシナリオはすごいと思いました。いまも山々を押し上げているのを考えてみると感動します。

*巨大な山脈がどのようにつくられたのか初めて知ることができた。山が連なっているのも、面と面がぶつかってもち上がったと単純に考えることでよくわかった。

*ビデオで見た秋吉台の洞窟に行ってみたいです。「百枚皿」が自然のものとは思えないほど変でした。

*現在もヒマラヤ山脈が高くなっているというのには驚きました。

*世界で一番高いところが海の中にあったというのは不思議な感じがする。いまの大陸が約1億年後くらいにはまたくっつくという話は実感がわかないけどすごいことだと思う。地震は嫌いなのでヨーロッパの人達はうらやましい。