2002年度・自主ゼミ「武蔵野台地をあるく」

参加自由。企画責任者:萩谷 宏


 狛江・宿河原堰河原  …武蔵野台地の基盤の観察

2002.6.8 実施

 上総層群の砂岩から化石を探す。午前中の参加者3人。砂岩の新鮮なところは青灰色だが、風化すると赤褐色になる。多摩川の増水のたびにレキが運ばれ、あるいは堆積するため、基盤の砂岩が露出し、浸食される。

 風化した砂岩中に化石を見つけた。

 キララガイの仲間の化石。斜交する殻表の模様(肋)が特徴。この仲間はいわきの中生層からも産出する。浅い海底にすむ二枚貝。

 採集の様子。

 宿河原堰下流の河原の様子。生態調査のためか、投網を打って魚を採集している人(先生と呼ばれていた)にも出会った。

 露出する砂岩の岩盤。流れに沿って溝が掘れていて、それを飛び越えながら移動する。溝の中にも化石が露出している。

 午後の参加者。化石の多い部分は石灰分のためか、浸食に耐えてわずかに盛り上がっている。

 午後の参加者2。荷物は中州に置いて採集。増水したら流れてしまうが、その場合は我々の方が先に流されてしまうので心配する必要はない。河原は多摩川上流からの多種多様な岩石のレキがある。レキから得られる情報や、上流の地質の解説に利用した。

 砂岩中に発見したウニの殻の化石。(一部。クリックすると拡大。)

 殻の残った二枚貝の化石。保存がよいが、母岩が柔らかいので、壊れないように取り出すのは難しい。

 採集風景。

 腰の入った正しいハンマーの使い方の例。

 割った砂岩を丹念に調べる。

 砂岩中に見いだされる有孔虫化石。有孔虫は単細胞の原生動物だが、石灰質の殻をつくる。浮遊性有孔虫は古環境推定や時代決定に有効。ルーペで拡大して撮影。視野の幅2cm。クリックすると拡大。

 アシタガイの仲間。マテガイに少し似ている。殻がそろって出るものが多く、ほぼ現地性の化石(死んでからその棲息場所を動いていないもの)であろう。

 砂岩に見える二枚貝化石の断面。場所によって石灰質の殻が残っているとこがあり、そこは化石の保存がよい。

 化石採集に来ていた小学生とそのお母さん2組。いい加減な説明で悪かったのだけど。

 多摩川の宿河原堰は数年前に工事していて、その際にも多数の化石が産出し、工事事務所が工事現場を公開して採集会を実施したことがある。魚道なども設けられていて、水害対策だけでなく環境や生態系にも配慮した設計であることが分かる。

 殻は残っていないが、きれいに印象の残った二枚貝化石。根性で掘りとって持ち帰ったとのこと。


講義データ
http://www.chemie.org/geo/


自主ゼミ案内

2002講義一覧へ

index

H.Hagiya (c)2001