よくある質問集(砂漠/ダイヤモンド)

’01年度、NHKジュニアスペシャル#31「移動する大砂漠」+αを視聴)

 

*砂漠の砂を、リサイクルは、できないのか

 リサイクルとは、どういうことをイメージしていますか? ガラス原料として利用することは可能だと思われますが、あまり資源とされていないように思います。砂漠ではなく、ベトナムやブルネイなど、熱帯雨林地域の石英砂がガラス原料として採掘されているようですね。リサイクルという言葉の意味にこだわると、砂漠の砂は陸上や海底で、石英砂岩として、ふたたび岩石に生まれ変わります。例えば、建築石材に使われる「インド砂岩」は、10億年あまり昔の砂漠の砂が固まった岩石です。

*砂漠で迷ったらどうするのか?

 本当に砂漠で迷ったら、死が待っていると考えるべきでしょうね。砂漠の種類や条件にもよりますが。まず、迷わないことですね。ところで、砂漠での死因第一位は、溺死だそうです。どうしてかな?

*ダイヤは1tで2カラットですか…もっととれると思ってました。

 1カラット=0.2gなので、1tで1カラットですね。でも、これはある鉱山での平均値ですので、もっと多い場合もあるかもしれません。いずれにせよ、かなり少ない割合でしか出てこないことは確かですね。

*温度差で岩が割れるとはすごい

 そうですね。直射日光が当たると気温よりも温度が上昇しますので、熱膨張は無視できないと思います。もう一つは、時間の効果があると思います。1万年くらい熱膨張と収縮を繰り返していたら、ぼろぼろになりそうです。

*砂漠の砂は利用できないのか

 リサイクルのところで前に述べた通りなのですが、ガラス原料、半導体(シリコン)原料として活用が可能な場合はあると思います。その他、オーストラリアでジルコンの多い砂があるようなのですが、これはレアメタルの一種、ジルコニウムの鉱石にならないか、と思っています。利用されているかどうかはわかりません。

*鳥取にある砂丘も理由は同じですか?

 サハラ砂漠とできかたが同じか?ということですか。鳥取砂丘は海岸砂丘であって、砂漠ではない。基本的には河川が海に運び出した砂が、沿岸流で運ばれ、海岸に堆積していったものです。風で吹き上げられているかも知れませんが。ですから成因は異なります。それはたぶん、砂を見ると、鉱物の種類や形態で判断できると思います。(風化の度合いが低い=粒子の種類が豊富、円磨度が低い)

*ダイヤモンドが炭素からなるのはいつも不思議。

 不思議ですね。硫黄の場合でもありますし、石英と金属シリコンを見比べても、酸化物と単体でこんなに違うかと思いますし、ルビーやサファイヤと、粉末の酸化アルミナを比べてもびっくりします。物質の性質がこんなにも変わるものですかね。

*砂漠の成分は?

 砂漠の砂の化学組成を聞いているのですか? サハラ砂漠では、ほとんど石英の砂からなり、石英の化学組成はSiO2ですので、100%SiO2に近い組成です。

*石墨も高圧・低温にすると、ダイヤモンドになるのか?

 なります。ただし、低温といっても反応速度(温度が高いほど速い)を稼ぐ必要もあるので、1000度くらいにする必要はあり、その分地下100km以上の高圧条件を作ってやる必要があります。合成ダイヤモンドは、そのようにして作られます。炭素を多く含むピーナッツバターで人工ダイヤモンドを作った例もあるそうです。

*ダイヤモンドが一番かたいなら、そのダイヤモンドはどうやって加工するのですか?

 ダイヤモンドの粉で磨いてすり減らし、加工します。また、ダイヤモンドは結晶の中で衝撃に弱い方向があるので、そこに打撃を加えると、ひびが入り、割ることができます。とても難しいらしいですが。

*ダイヤモンドより硬いものはつくれないのですか

 原理的には可能なものがあったような記憶がありますが・・・調べてみます。天然鉱物ではありません。

*日本でダイヤ採れるんですか?

 採れません。日本の地下は火山活動があるように、温度が高すぎるので、ふつうのダイヤモンド鉱山で採れるようなダイヤモンドは出ないでしょう。5億年か10億年後には、地下の温度が下がって、ダイヤモンドが出てくる可能性はあると思いますが。

*雲があまりできない地域があるとは知らなかった。

 気象衛星ひまわりの雲写真(全球)をずっと見ていると、日本の南海上などで、北緯20-30度あたりで、確かに雲ができていない部分があるのがわかります。また、そのゾーンが季節によって南北にずれているのもわかります。注意して見てみましょう。

*岩石の種類はどのくらいあるのか

 細かな違いを気にすれば、無数に種類があることになってしまいますが、基本的にはそんなに多くないです。地球上であれば、地質学者が区別するのはせいぜい数十種類で、あとは細かい違い(特徴的な鉱物や、組織)を記載の時にちょっと付け加えるだけです。

*雨の降らないドーナツ状の地帯の中にアマゾンも含まれていたように見えたのですが、なぜアマゾンでは雨が降るのでしょうか?

 それは見まちがいだと思います。アマゾンは赤道直下で、上昇流で雲ができやすい地域です。もっと北のカリブ海のあたりが、雲のできにくい地域になります。

 

2001後期・地学(2)…建築)

*砂漠は必要ですか? 今ある砂漠が緑の土地になった方が良くはないですか?

 どうだろう。全部緑になるのは考えにくいけれど、でも、砂漠のあるおかげで、生物分布の障壁になって、生物相の地域による多様性を生み出しているかもしれませんね。人間の(経済的な)都合で判断すべきことではないような気がします。

*砂漠って地球のどのくらいの深さまで砂なんですか?

 いろいろあるし、よくわからないけれど、前に紹介した番組では、電波で砂漠の砂の下の地形を読みとる話が出ていますから、平均で数十m程度だと思います。数百mには達しないのではないかと思います。もうひとつ、砂で覆われ、砂丘が続く砂漠は、砂漠の中で面積的には少ないようです。

*いま砂漠じゃないところで砂漠化してしまうところはありますか?

 すでにある砂漠の風下側など、あるいはステップ地域などで、過放牧などの影響で砂漠化が進んでいたり、潅漑による塩害、熱帯雨林の伐採による土壌流出などで、これまでにない種類の砂漠化がおきているといわれます。

*広大な砂漠にはいくつかのオアシスと呼ばれる緑地帯があると思うのですが、それはどのようにしてできるのですか?

 例えば山脈風下の場合など、山ろくからの地下水の流れがあるのですが、それが場所によって地表にわき出していたり、地下の浅いところに達していたりすることがあるわけです。それがオアシスの成因となります。

*砂漠の定義って何ですか。

 「非常に乾燥したところ」を指すのであって、明確な定義はないそうです。

*砂漠の成り立ちが大気の流れによるということは、地球に海ができて、大陸が誕生した頃から砂漠が存在したということですか!?

 逆なんです。たぶん、陸上に植物が進出し、生態系ができて、初めて陸上に砂漠でないところができたのです。だから、5億年前より昔では、陸地はほとんど全てが砂漠だったということです。僕にはハッピーな世界ですが。

 

*テレビで見るよりも、実際に見たサハラ砂漠(の砂)は、かなり黄土色でびっくりした。ルーペで見たときに、透明な粒が見えたのですが、あれが石英の粒ですか?

 透明な粒が石英です。外形がとても丸くなっていることに気づきませんでしたか。空中を運ばれることで、粒どうしがぶつかるチャンスが多く、水中を運ばれる場合よりも表面が摩耗しやすく、丸くなるのです。粒が小さいのは、場所にもよるのですが、風下で遠くまで運ばれるのは細かいものが多くなりますね。粒の大きさがそろっているのは、風で運ばれる距離が粒の大きさによって違って、それで選別を受けているからでしょう。

*岩石が砂になるのにどのくらいの時間がかかるのですか?

 わからないです。一概には言えませんが、氷期終了が1万年前ですから、それ以後と考えると、数十年から1万年の間かな。でも、場所や条件によって様々でしょう。砂嵐が吹き付ける岩肌などは早く削られ、砂になるでしょうし、砂丘の下に埋まった岩石は、風化の進行が遅く、何万年もかかるかもしれません。

*砂漠の砂は元々は石であり、石英であることには驚いた。そこらへんにある砂もそうなのですか?

 そこらへんというのは日本の海岸や河川の砂ですか? 日本の場合は、上流の岩石が風化し、水で浸食されてつくられ、川で運ばれます。海岸の侵食でできる砂も若干あります。砂をつくるのは石英の粒子とは限りません。むしろ石英以外の岩石の破片や、火山灰に入っていたような輝石や、斜長石といった鉱物が多いです。日本の場合、変動帯で石英が岩石中にもともと少ないところが多い上に、温帯に位置していて気温がそれほど高くならず(風化の化学反応が遅くなる)、降水量が多く、砂漠のような陸上での極端な風化が進む前に、砂の粒子が水によって運ばれてしまうので、石英の割合が低いのだと思います。