大学での学びについて

 2009.2.2 (四万十フィールドワークの参加生徒向けに。)


みなさんは、四万十のFWのレポートをまとめている最中だということですが、 レポートをまとめるということは、勉強の上でとても大事なことです。大学 での学びは、基本的にいまみなさんが取り組んでいる作業の繰り返し、ある いはもっと詳しく、深く、徹底的に、自分で調べて、まとめる作業だと思っ ていいと思います。大学では、誰かが教えてくれるのを待っていても、何も 進みません。自分で判断し行動し、必要なことは自分で取ってこないと、何 も身に付かないのです。
大学は、みなさんが自分で学ぶための道具や、環境を整えてくれています。 専門家の先生がいて、ある分野を系統的に学ぶためのカリキュラムが用意さ れていて、文献を調べるための図書館があり、研究のための実験室がある。 それらを活用して、自分にとって価値のある学びを実現するのは、学生ひと りひとりの才覚というか、努力と工夫が必要です。
高校のうちに、そういう勉強の方法を学ぶことができるのは、非常に幸運な ことだと思います。最初は大変かもしれませんが、きっと楽しくなると思い ます。頑張ってください。

ついでに自分のことをいうと、僕は高校1年の時に、校内論文コンクールと いうのに応募して、半年かけて調査した、日立の地質調査の論文を提出しま した。そのコンクールは、通常文系の論文ばかりが出てくるもので、理系の 地質調査の論文というのはずいぶんと場違いなものだったのですが、なぜか それが入選してしまい、審査にあたった隣の学校の地学の先生を経由して、 北大や鳥取大の先生に連絡を取って大学選びをすることになり、現在の職業 への道筋をつけることになりました。地質調査なんて誰も教えてくれなかっ たので、全部独学でしたが、でもそうやって自分の興味に従って勉強を進め ることの楽しさを見いだせたのは、幸運だったと思います。

学校というのは、すてきな先生や仲間がいて、学問をするための環境が整っ ていればいいのだと思います。高校時代に、フィールドワークを教えてもら えるなんて、全部が独学だった僕にいわせれば、ずいぶんと恵まれているこ とだと思います。ぜひその環境を活用してもらいたいな、と思います。

(神奈川学園高校での2009.1.29出張授業のコメント補足。)


石のたましい

indexに戻る