世界の地形を読む

世界の地形

{各大陸5位までの山の標高データ。地8から地11}

*山の高さ

 高い山が出来る場所の多くは、プレートの沈み込みや、大陸の衝突によって地殻が厚くなった場所である。面と面の交差するところは線であるから、線状に山が続く山脈ができる。大陸をつくる地殻はマントルに浮いているので、地形的に盛り上がっているところは、水に浮いた氷のように、地下では地上の何倍もの深さで地殻の岩石がマントルの中にある。

 大陸の地殻の厚みは平均35kmほどであり、インドとユーラシア大陸の衝突でヒマラヤ山脈ができたように、地殻が2枚あわせになっても、60-70kmの厚みにしかならない。また、これ以上の厚みがあると、大陸地殻の岩石は融点が低いので、底の部分が融けてしまうので厚くなることができない。したがって、大陸の衝突やプレートの沈み込みで地殻が厚くなってできる山脈の高さは、6km-7kmが限界だということになる。

 ヒマラヤの場合は、インドとユーラシアの古い大陸地殻に挟まれた、比較的新しい時代の地層がインド側にはみ出していて、その分標高が高くなっているので9000m近い高峰が存在するが、これは例外的なものである。まんじゅうをつぶしてはみ出たあんこが盛り上がったのがヒマラヤ山脈だと思えばよい。あんこは長い年月のうちに浸食によってなくなってしまう。

{流域面積順5位までの河川データ。地20}

*大きな川

 世界の大河川の流域面積は、必ずしもその河川が流れる大陸の面積と対応しない。これは山脈の配置など、地形的な要因が大きい。

 アマゾン川は流域面積も大きいが、流れる水の量も桁違いに大きい。これはアマゾン流域が赤道低圧帯にあって、大西洋から蒸発した水蒸気が東からの貿易風により大量にもたらされるからである。

 アマゾンの源流地帯は南アメリカ大陸の西端につらなるアンデス山脈である。アンデス山脈があることで、大量の降水がもたらされており、その位置が西に偏っていることでアマゾン川の流域面積が大きくなっている。アンデス山脈の本格的な隆起はいまから1000万年ほど前からであり、それ以前はアマゾンの上流域は現在の東方向ではなく、西方向に流れていた。

 ガンジス川や黄河は、水量ではなく河川が運ぶ土砂の量が多いことで知られている。ガンジス川はヒマラヤからの土砂の供給が多く、黄河の場合はゴビ−タクラマカンの砂漠から氷期に風で運ばれた黄砂が厚くつもった黄土高原を中流域に持ち、そこからの土砂の供給が多い。これらの河川は下流域に三角州などの土砂で埋め立てた巨大な低地が存在する。

{面積5位までの湖沼データ。地26から27}

*大きな湖のできかた

 大きな湖沼をつくる地形的に巨大な低い土地は、ほとんどがテクトニックな原因か、氷河による浸食でつくられている。

 大陸はその地殻の岩石がマントルに浮いた構造であり、地殻が薄いところは浮力が少ない分、地形的にへこむことになる。大陸の分裂などで、地殻が薄くなったところは地形的に低くなり、そこに水がたまると、巨大な湖が出来ることがある。このような大陸分裂のテクトニクスによる湖がカスピ海やビクトリア湖などに当てはまる。

 北アメリカ大陸などでは、およそ2万年前をピークとする氷期に、巨大な氷床が形成され、その重みと移動による削剥で大地が深くえぐられた。氷期の終了と共に氷床は消滅したが、氷床による巨大な窪地が出来て、水がたまり、五大湖をはじめとする氷河湖となっている。

 −「理科年表ジュニア」第二版、丸善(2003)所収原稿を改変。


地球という星       次のページへ進む

indexに戻る

 萩谷 宏 2003.3