微惑星


Q:微惑星ってどんなもの?

A:微惑星といっても、だんだん大きく成長していく、いろいろな段階があって、大きさも様々なので、一言では説明できません。

 46億年くらい前、銀河系の片隅で、星間雲と呼ばれる、希薄なガスやちりのかたまりが、自分の重力で収縮を始めました。これが太陽系の起源だと考えらます。

 収縮を始めるきっかけは、近くで起きた超新星爆発などが考えられています。太陽系の初期の情報を記録し、保存しているのは、ある種の隕石ですが、その隕石の中に超新星爆発の痕跡と考えられる微粒子がみつかっています。

 やがて、中心には原始太陽が輝きはじめ、周囲にはガスやちりが集まって回転する円盤ができます。これを原始惑星系円盤といいます。その円盤の中で、砂粒のような微惑星の材料が、ガスの中から結晶として析出してきます。そのような固体微粒子が増えてくると、自分の重力で直径10数kmのかたまりをつくります。これが最初の微惑星です。

 微惑星は無数につくられ、円盤のように太陽を取り巻いて回転していますが、互いの重力によって引き合い、衝突・合体が進行していきます。微惑星がそのようにして成長していくと、衝突の際に放出されるエネルギーも大きくなり、大量の熱が発生します。微惑星の集積により、やがて他の微惑星よりもひときわ大きな原始惑星が成長していきます。大きな原始惑星は、重力によって周囲の微惑星をかき集め、それが現在の9つの惑星へと成長していったと考えられます。

 原始惑星の表面は、衝突の際に放出された気体成分で覆われ、その温室効果もあって、表面はどろどろに融けた、マグマ・オーシャンの状態になります。マグマ・オーシャンの状態では、惑星を作る材料の岩石や鉄が分離し、密度による成層構造が作られていきます。

 地球も、他の惑星も、そのような過程を経てつくられました。地球型惑星は主に岩石と鉄で作られたのに対して、太陽から遠く質量の大きい木星型惑星では、原始太陽系をつくっていた、水素・ヘリウムなどのガス成分に取り巻かれて、違った見かけをしています。しかし、そのような木星や土星、天王星、海王星でも、中心には地球よりも大きな、岩石と鉄でできた部分があると推定されています。

補足:微惑星と彗星

 彗星は、太陽系の外側にある直径10km〜数十kmの氷とちりのかたまりが、なんらかのきっかけで太陽の近くを通る軌道を持つようになり、太陽放射によって表面からガスやちりを放出し、長く尾を引いて見えるようになったものです。その化学組成や大きさなどから、太陽系の外側でつくられた微惑星が、そのまま現在まで残っているものではないかと考えられています。

 彗星のような氷天体は、太陽系の外側でたくさん発見され、このような小天体が集中する領域は、カイパーベルトと呼ばれています。冥王星もそのような氷天体の一つであると考えられています。

補足:超新星爆発と星の誕生

 太陽をはじめとする恒星は、自身の持っている水素をヘリウムに変える、核融合反応を中心部で起こしていて、その際に放出されるエネルギーで光っています。中心部の燃料が欠乏することで、星は終末をむかえます。重い星では、中心部は高温になり、ヘリウムが核融合をはじめ、さらに重い原子核がつくられていきます。太陽の質量の7−8倍よりも重い星では、超新星爆発を起こし、周囲にガスやちりをまき散らして、その一生を終えます。一方、それより小さい星も、周囲に星をつくるガスの大半をゆっくりはきだして終末をむかえます。
 このようにしてはき出されたガスやちりが、星間雲となり、次の新しい恒星や惑星を生み出す材料となります。

Q:隕石は地球の材料なのですか

A:厳密には、ほとんどの隕石は、地球とは別の惑星が壊れてできた小惑星の破片であり、地球を作った微惑星と全く一緒ではありません。しかし、隕石の中には太陽系ができた頃の情報を非常によく残していると考えられる、炭素質コンドライトという種類のものがあります。番組で紹介しているマーチソン隕石や、アエンデ隕石などはその仲間です。太陽系ができてすぐの頃は、地球や他の惑星の材料の違いはほとんどなかったとも考えられますので、地球の材料を知る上では、この種の隕石は非常に重要な資料となります。


 2001.4.7 萩谷 宏

石からわかること

地球史

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