持ち込み標本の同定 1


秩父の山中で拾った石(根岸君)

 チャート層にともなう、層状マンガン鉱床の鉱石の破片です。黒光りするのは地表でマンガン鉱物が酸化されて二次的にできた、軟マンガン鉱(MnO2)です。成分は、酸素の発生の実験で過酸化水素水を反応させるのに用いるのと同じ、二酸化マンガンです。

 準備中。

<余談>

 秩父〜奥多摩にかけての山中には、かつて、特に第二次大戦中に、いくつものマンガン鉱山がありました。現在ではそのすべてが閉山・廃坑となり、ズリ(廃石捨て場)の跡さえわからなくなっている場合も多い状況です。よくこんな石を見つけましたね。
 マンガンは、地殻中では平均で0.1〜0.2%と比較的多い元素ですが、鉱床は限られています。主に海嶺付近の海底で、熱水からの沈殿物として鉱床がつくられます。また、最近では、深海底に見られるマンガンノジュールが話題になりました。
 このように海底でつくられたマンガン鉱床が、どうして現在秩父の山の中でみつかるのか、というと、日本のあたりが古生代以来ずっとプレートの沈み込みの場に位置していて、沈み込む海洋プレート上部の堆積岩が陸側にくっついた、付加体という構造をつくってきたことに原因があるのです。つまり、ずっと昔、おそらくジュラ紀かそれ以前の時代に、ずっと南にあった海底にたまったものが、大陸地殻に押しつけられて、くっついて残っているのです。


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