変質・風化した安山岩andesite。斜長石plagioclase、普通輝石augiteなどの斑晶がわかる。火山岩の肉眼鑑定は、斑晶鉱物が決めて。標準的には、玄武岩:かんらん石+斜長石、安山岩:斜長石+普通輝石(+しそ輝石hypersthene、角閃石hornblende)、流紋岩rhyolite:斜長石+石英quartz+黒雲母biotite(+角閃石)
ルーペで拡大。視野の幅:約1cm(以下同じ)。火山ガスの入っていた気泡の跡を変質鉱物が埋めているようだ。
黒いつぶつぶが輝石(普通輝石)、白い長方形?の部分が斜長石、黄色く大きい不定形の部分が変質鉱物。
<余談>
地球の火山岩(マグマ)は、玄武岩質のものが多いのです。例えば、中央海嶺でみられる枕状溶岩は玄武岩ばかりですし、ハワイの火山のマグマもほとんどが玄武岩です。安山岩は、日本のような島弧、あるいはアンデスのような陸弧にしか出ない火山岩です。いずれもプレートの沈み込みの場に位置していて、そういうところでないと安山岩のマグマは大量に生成できないようです。それには、沈み込むプレートから上部マントルに供給される水が、大きな役割を果たしているらしいことが、1960年代以降にわかってきました。これには日本の研究者も大きな役割を果たしています。
安山岩は日本では普通にみられる岩石ですが、ヨーロッパやアメリカ合衆国東部ではほとんど見られません。アンデス山地の安山岩が欧米に紹介された関係で、andesite(アンデスの石)という名前が付けられ、それを日本語に訳すときに安山岩という当て字が使われたのです。
いま、火星に安山岩組成のマグマがあったのか、という問題がクローズアップされています。多くの研究者は、火星のサイズが小さいことから、地球のようなプレートの沈み込みがあって、地球と同じようなメカニズムで安山岩ができる、ということはないと考えています。しかしいずれにせよ、もし火星に安山岩のマグマがあるならば、マグマ生成の場の条件に大きな制約がつけられる可能性があるからです。