茨城県立緑岡高校の校門付近の庭石から。
マグマだまりでの結晶集積−堆積過程を示す、無色鉱物と有色鉱物の濃集層の繰り返し。
現象としては、堆積岩の級化層理と同じ理屈で、(これが岩体の壁面や天井でなければ)マグマだまりの状態での重力方向がわかる。
上の写真でルーペを置いた付近の拡大。ひとつの堆積サイクルを示す。黒雲母が右側に集まっていて、
そちらが重力方向であった可能性が考えられる。
このような結晶の分別と堆積が実際にどのように起きているかは、マグマだまり内での対流の条件の変化などを考える必要もあり、
単純ではない。
ペグマタイト脈を含む花崗岩。全体として石英の多い分化した岩相。
固結−結晶分化の進行で、揮発性成分(水など)に富む残液は、岩体の内外に隙間を作ってペグマタイト脈を作る。
そこでは石英・長石類などの結晶が大きく成長し、希元素鉱物が見られることもある。
花崗岩のマグマに捕獲された周囲の岩石。マグマが上方に移動する際に、
そこにすでにある岩石を食い破って、マグマだまりの下に落とすことで、空間を確保するような貫入方法をしていることが考えられる。
これをストーピングという。
食い取られた岩石の破片は、融けて花崗岩に同化してしまう場合もあるが、 特に岩体の周縁部では捕獲岩として証拠が残ることも多い。これはその一例。黒い岩石が不規則に割れてマグマに取り込まれ、 その花崗岩との境界は不明瞭になっているのがわかる。黒い岩石の右側接触部に石英が集まっている白い部分が見られる。 何らかの反応が起きているのだろう。
Q:堆積岩(レキ岩)ではなく、これがマグマだまりの中で起きたという証拠はどこか?
同様に、花崗岩に食い取られた捕獲岩。上の例よりも同化が進行している。
花崗岩は揮発性成分が多く、浸透性が強いので、捕獲岩は本来の組成から変化し、かなり花崗岩に近いものになってしまっている。
このような花崗岩中の優黒色部分を、シュリーレンと呼ぶ。花崗岩体の周縁部には特に多い。
特に花崗岩のようなSiO2の多いマグマでは、このようなかたちで周囲の岩石をマグマに取り込んでしまう、
assimilationやcontamination、migmatization(同化作用や混染、混成作用と訳していると思う)が、
成因を考える上で無視できないことが多い。(ミグマタイト化は、変成岩が高温で融解してしまうことを指す。)
花崗岩中に入った幅3cmほどの脈。境界が明瞭な貫入関係に見えないので、完全に固結する前に、
体積収縮でできた隙間に周囲から残液がしみ出すことでできた脈ではないかと考える。豆腐に”す”が入ったようなものですな。たぶん。