造礁生物の出現と環境変動


c)造礁生物の出現、環境変動

 先カンブリア代の石灰岩の中には、ストロマトライトと呼ばれる、ラン細菌などの生物がつくった層状の構造がしばしば見いだされる。古生代以後には、石灰質の殻を持つ生物が石灰岩をつくり、大気組成にも大きな影響を与えるようになった。
 カンブリア紀初期(約5.5億年前)には炭酸カルシウムの骨格を持ち、生物礁をつくる最初の生物が現れた。次のオルドビス紀中期(約4.7億年前)には、腔腸動物である造礁性のサンゴが出現し、生物礁はより多くの生物が住む場となった。シルル紀(約4億年前)〜ペルム紀(約2.5億年前)にかけて、サンゴをはじめとする造礁生物が発展し、大規模な石灰岩が世界各地に作られた。

 古生代には、オルドビス紀末〜シルル紀、および石炭紀〜ペルム紀に2回の氷期があり、大陸氷床が発達した。これらの氷床の発達は、大陸移動により極域に大陸があったことと、火山活動の低下や、森林形成や石灰岩形成などを通して、生物が二酸化炭素を消費したことが、寒冷化に影響を与えたことが考えられている。
 また、現在の北アメリカ大陸とユーラシア大陸(ヨーロッパ)の衝突による大山脈の形成が、そのふもとに大規模な湿地帯を形成し、シダ植物の森林に好適な環境をつくり、そこで石炭が形成されたことで、デボン紀から石炭紀にかけて、大気中の酸素濃度が急速に増加した。シダ植物の大森林は、土壌をつくり、昆虫などをはじめとする動物にすみかを提供し、土壌を通じた物質循環のしくみがうまれた。森林の形成により、陸上せきつい動物の進化も可能になったと考えられる。

 2001.1.22 H.Hagiya


地球史

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