ちそう

山地と平地

 ☆平地は川のすみか

 ☆水は山地の賜物
    人間は水なしには生きられない。

 極地方式研究会 1985.7.18



                                85.5.28



             地   層 (6年)


1.地層は地形、地形は植生。(植生は気候)


2.単層で考えない。山地を作る地層,平地を作る地層と考える。
 山地と平地の境目を気にしよう。



3.地層は化石、現在でもそうである。
 地層全体が化石である。その時代の生物や地球の活動のあとだ。


4.現在は過去を解くカギ。
 現在から過去への方法論を重視する。人類の時代の地層を重視する。



5・地図ぬりをたっぷりやる。地層のひろがりがわかる。
 川,田(平地)だけをぬる。ぬらないところが山地。
 山地と平地の区別が大切。地図ぬりで確かめる。
 地図と現地との往復。


6.歩いてたしかめる。山をたたいて確かめる。
 いつもハンマーを持ち歩き、山をたたいてみる。

7.山(の岩)をくだく。
 できるだけこまかく。(ハンマーで,鉄乳ばちで)
 実体顕微続,ルーペで見る。



8.けずられて、山(の地層)ができる。それが積もって平地(の
 地層)がつくられる。 山と平地をいつもセットで考える。
 山があるから雨がふる。 雨がふるからけずられる。

9.けずられるから高くなる。 積もるから低くなる。
 高くなるから削られる。 低くなるから積まれる。

山 地
平 地
かたい
山・森林
恐竜・三葉虫・アンモナイトなど
(化石)
陸
水源・多雨
侵食
隆起
やわらかい
田・畑・道路
人類の時代
(化石なし)
海
洪水地帯(氾濫原)
堆積
沈降
科学の道具   地形図,地質図,ハンマー,鉄乳ばち,ルーペ,   実体顕微鏡,磁石,金床,木箱,新聞紙,   ・アルコールランプ,スライドグラス,    クリップ式スライドグラスばさみ 1.地図ぬり(川と平地と山地)  (地層の学習では山地と平地の区別が最も大切だ。地質が全々ちがうから   だ。その区別をする大切な作業。) ○ 国土地理院発行の地形図を使う。5万分の1と2万5千分の1  とあるが、自分たちのまち、学区等の旗模で使いわける。   川をはさんで、山と山の間が、1〜2Km程度(大きな川の支   流程度,川の両側を含む1学区)なら、2万5千分の1がいい。   川をはさんで山と山との間が、4〜5Km程度(大きな川、そ   の川の両側にいくつも学区が並んでいる)なら、5万分の1が   いい。 (1)まず川をぬろう。(青で、みずいろで)   川をぬるといろんな事に気づく。自分たちの学校・家の場所がわかる。   (気づくことや疑問はどんどん出させる。) (2)次に田んぼをぬろう。(緑色で)   ため池や、沼をみつけたら、青でぬること。   平地をぬることになる。ぬり残した山地との対立をはっきりさせる。   (気づいたことを言わせる)  きまり 緑でぬったところが、平地です。ぬり残した白いところは(    )です。   平地と山地をはっきりさせる。立体地図で平地が低く、山地が高いこと   を確認する。 (3)平地にはなにがあるでしょう。   山地にはどんなものがあるでしょう。   (平地)   (山地)   何でもいい.気づくことを言わせる。   (田,川,家,学校,工場,橋,道路,高庄線,etc..   ) (4)平地にあるもので、人間がつくったものでないものはある   でしょうか。   「ない」という気持を起こさせたい。   「川」がでたら、堤防のことを言う。自然にはえた木(段丘斜面など)   が出たら、そのクラスは優秀だ。無理に、すべて人間が作ったと言わせ   るのではない。例外を見つけ出すのも、非常に重要だ。 (5)山地に人間のつくったものがあるでしょうか。  (時間があったら考えよう)   人間は山地に住んでいるといったらいいでしょうか。平地   に住んでいるといったらいいでしょうか。   そこはどんなことに都合がいいのでしょう。  きまり 人のすみか、( )のへり、(  )のどんづまり   「山に住んでる人はどうなの?」   「おれたちは人間じゃないの(団地住人)?」   の質問が出ればおもしろい。   (山にも平地がある。人間が侵食し堆積して平地をつくって住んでいる)   人間は水なしには生きられない   水は山地の賜物 2.地形を目で見よう(学校の屋上から)   地図と対照  巡検のコースも念頭に入れてやるとよい。コースの予告になるように。   コースに期待を持たせたい。 (1)屋上にのぼって周囲をみまわす。(地図と対照)  a.川はどこを流れているだろう。  b.地図でぬった平地はどこだろう。なにがあるかな。  c.ぬりのこした山地はどこだろう。  d.平地と山地の境目はどこだろう。みつかるかな。  平地と山地を実際の景色をみて確認する。 (2)段丘の確認(地域でちがう)  a.学校の建っている高さと川の高さを比べよう。  b.道路はどこにとおっているだろう。  c.坂はどこにあるだろう。  d.すじのように木がはえているところがあるか。どんなと    ころだろう。  e.川から、山地まで段丘はいくつあるだろう。(副読本で   みてみよう) 5.フィールドワーク(山をたたく) たえず地図と対照 (0)デスクワーク・ビフォー・フィールドワーク  (科学の方法) フィールドに出る前に必ずリハーサル。    フィ←ルドでは思いがけないことが起こる。予想しなかった発見があ   る。それが重要だ。そのためのリハーサルだ。コースを確認する。どん   なものがあるのか子どもたちに教えておく。これからの探険に期待を持    つように。    a.地図でコースを確認。     色をぬった地図で、どこで山地から平地に移るか。平地から山地に     入るか。    b.コ−スの途中に何が見えるか      平地を歩くときは − 人家・田・橋      山地を歩くときは      どこに坂があるか    c.どこで、山をたたくか.     山地と平地の境目であることを確認     化石が出るならそのことを確認    子どもひとりひとりがハンマー(ふつうのトンカチでよい。   あまり小さいのはだめ)を持って。教師は、シャベルとツル   ハシをもつ。 (1)山をたたく    山地のへりの露頭を見つけたら、子どもたちに気のすむまでたたかせ   る。山地と平地の固さの違いを体感させる。大きめの岩を採集する。   露頭のところに立って、ここが山地と平地の境目であることを強調す  る。  露頭は山地のへり (2)平地を歩く    山地のへりから川を横断して、反対側のへりまで歩く。段丘を見つけ    る(坂があるか) (3)川をのぞく    川原の様子を見る。川岸のけずられ方、川原の石ころの大きさ、色、    段丘面を見る。川底をみる。 4.山をくだく(理科室で)   平地の原料 (1)露頭から採集してきた岩を見る。  a どこからとってきたか、地図で確かめる。    山地からとった。  b 反対側のがけでも、こんな固い岩がとれるだろうかo  c こんな岩は、どこまで広がっているだろうか。地図で想像し   よう。 (2) 岩を徹底的にくだく  ハンマー,金床,鉄乳ばち,木箱,新聞紙を使って (3) くだいた岩を見る、さわってみる。   ルーペ,実体顕微鏡を使って、磁石を使って   水であらって、乾燥して (スライドグラス,アルコールランプ)  a.色はどうだろう、さわってどうだろう    磁石につくものはあるかな。  b.何に似ているだろう。 (4)自然の力で、山がくだかれる。くだかれた土砂が平地につ   まれる。何のはたらきでしょう。 きまり 山地は侵食、平地は堆積,山地の雨・雪、平地の洪水 ☆ 断面図をかいてみよう。  川を横断して、(歩いたところの)断面図をかいてみよう。  両側に山、間に平地と川。



5.地質図をぬる(宮城県)


  地質図は、山地や平地が、どんな地層でできているかを示しています。
  地図帳の宮城県の部分と比べてみましょう。


(1)地質図に、人類の時代の地層を緑でぬりましょう。
  地図帳では、どんな所になっていますか。
  (等高線の何メートル以下でしょう)



(2)この地層は、人類が誕生する少し前から現在までに堆積され、
 現在なお堆積の続いている所です。人類の住みかと活動の土台
 が、この地層です。


 (ア)食料のおおもと、穀倉地帯はどこでしょう。


 (イ)鉄道(新幹線も)どこを通っているでしょう。


 (ウ)国道(4号線など)はどこを通っているでしょう。
    高速道路はどこを通っているでしょう。


 (エ)鉄道や道路を作るのに大変な所はどこでしょう。



(3)人類の時代の地層は、新しい土砂の堆積でできました。


  その土砂はどこから運ばれてきたのでしょう。


  何によって運ばれてきたのでしょう。


 (北上川、鳴瀬川、広瀬川、名取川、阿武隈川を水色でぬろう)



(4)宮城県では、うんと高い山はどこにあるでしょう。
  何メートルですか。



(5)宮城県で一番高い山は、すべて新しい人類の時代に入ってか
 ら噴き出した火山です。(たくさんの溶岩が噴き出し、どれも
 ひとつの峰ではなく、いくつもの蜂からなる連峰です。)

  火山の地層を、橙色でぬろう


  火山が噴き出す前は、どんな地層だったのでしょう。



(6)硬雑な地形が波に洗われる、リアス式海岸は、どんな地層で
 できているでしょうか。           ・
  どんな化石が見つかっているでしょうか。


  ほかの県(たとえば、三重県)でも、同じ地層でしょうか。


d.地質図をぬる(近畿地方)


   けずられにくい、こわれにくい古(中)生代
   けずられたり、盛り上がったり新生代


 0.地形を大ざっぱに見る


  立体地図があるととてもよい。
  20万分の「地勢図をはりあわせたものでもよい。
  子どもたちには、地図帳を持たせる。

 平野や盆地はどこ?
 川は?
 どんな山地があるでしょう。
 (名前、いちばん高いところは何メートルぐらいでしょう)


        (地質図の説明)

 地質図
   土地がどんな地層でできているか、調べて作った地図

 堆積岩
   たとえば、中生代の堆積岩といえば、中生代に堆積して
   できた地層。(中生代に山地がけずられて運ばれた土砂
   がたまった。)
   中生代に平地だった証拠だ。

火成岩
  マグマが囲まってできる。
  堆積岩の中に割り込んだり、地表に出て流れて固まった
  りする。
 中生代に活動して囲まったのを中生代の火成岩という。
 中生代に地層が動いた証拠だ。


(問題)
 動物や植物のからだ、活動した跡が化石になって残って
 いるのは、堆積岩だろうか、火成岩だろうか?


 地質図を見ると、岩石の種類だけでなく、できた時代もわ
 かります。



1.大きな川をぬりましょう(ざっと かく)



2・いま作られていて、囲まっていない「人類の時代」の地
 層をぬりましょう(緑色)
 人類の時代の地層はどんなところといったらいいでしょ
 つ。
 地図帳と比べて気がついたことを言いましょう。


平地、盆地、海のそば、田んぼがある、市街がある、など
気がついたことは何でもどんどん言わせる。
場所がでてもいい。
中央構造線の北(近畿トライアングル)
中央構造線の南にはない。川にそって、少し、など。
など、


3.花崗岩の地層をぬりましょう。(赤)
  花崗岩地帯はどんなところにあるでしょう。
  地図帳でしらべなさい。



 中央構造線より南にはない。
 大阪平野や、奈良盆地、京都盆地、上野盆地のまわり。丹波
 のへり比叡山、六甲山地、など。


     ( 注 意)
  人類の時代の地層・花崗岩の地層は、大阪湾、琵琶湖、
  伊勢湾をふくむ三角の中にはいります。(近畿トライア
  ングル)


4.古くてかたい古生代と中生代の地層をぬりましょう。
  (火成岩・蛇紋岩もぬります)
  古生代、中生代の地層は、どこにあるといったらいいで
  しょう。

5・最初にぬった地図(人類の時代、花南岩地帯)とくらべ
 てみましょう。
  地層が複雑に入りくんでいて、グチャグチャになってい
 るのはどっちでしょう。
  おなじ時代の地層が大きくかたまっているのはどっちで
 しょう。
 人間がたくさん住んでいて、道路や鉄道が何本も走って
 いるのはどちらでしょう。
 貴重な木材や水資源のもとになる森林が多いのはどちら
 でしょう。



      き ま り
 けずられにくい、こわれにくい古(中)生代

  だけど平地ができず、海岸は絶壁、陸は森林−だけど
  絶景

 けずられたり、もりあがったりの新生代

  けわしい山、だけど平地ができて、人がたくさん住んで
  いる。洪水に悩まされながら。



6.地質図をぬって、わかったことや、考えたことを書いて
 ください。


 こう言っても、わからないことや、疑問に思ったことを書い
 てくるものだ。
 そういう疑問やわからないことを書くようになれば、わかっ
 た証拠である。

7.地層は化石



(1)化石にはどんなものがありますか。知っている化石をい
   いなさい。
   どんなのを化石と言うのでしょう。


  いろんな化石をあげさせる。
  化石について知っていることでもいい。
    固いか、やわらかいか。
    生物の遺骸か、生活(痕)跡か、生産物か。



(2)平地と山地の境目付近に、(貝)化石が見つかります。
   (貝)化石は、山地の地層のほうにあるだろうか、それ
   とも平地の地層のほうにあるだろうか。
   地図で確かめてみよう。



(3)露頭(山地と平地の境)だけでなく、山地の地層のまん
   なかあたりでも(貝)化石はみつかるだろうか。
    (貝化石の見つかるのは、海だった証拠です)



  その地層全部から化石が出ると言ってもらいたい。



   化石は山地.(山地は化石)


(4)おおむかし、海だったところが100mも3000mも高い
  山地になった。どうしてだろう。あなたの考えは、


 a.隆起して陸になったから
 b・北極、南極の氷がふえて、海面がさがったから
 C.そのほか



(5)陸が隆起したり沈降したりした証拠はほかにもあるだろ
  うか。海水面が上下した証拠はほかにもあるだろうか。
  教科書を見てさがそう。



 教科書の写真や図を活用する。


8.「地球の歴史」
 (教師用)
 1.表をくばってから、言うこと.
 (1)凸が1億年。
   上がいま。
   下が始まりの時代。下ほど大昔。
     角がないのはよくわからないということ。

 (2)「人間の時代」1万年.
     農業の始まりから、いままで・
        人間の1生100年.(長い? 短い?)
   「人類の時代」100万年 (長い? 短い?)
     森のヒトから地上のヒトへの「ん・百万年」
     「地球の歴史」は40何億年といいます。


 (3)しばらく見させる

 (4)表をみて気のついたこと、発表してください。
     (簡単に発表してもらう。)

 (5)知っていること、表をみて考えたことをかきましょう。
     (かいたら読んでもらう)



 2.留意点
  ・あまり教える気にはならないで、子どものもっている知識、
   イメージを呼びおこすようにしたい。
   無理に疑問を出させない。考えたら疑問がでるものだ。
  ・学級通信などにかいて交流する。
  ・図鑑や本を紹介する。
    子どもにもっている本をきく。
    図書室の本をみておく。

(+図)