2000.3.7(
火曜)1限実施 萩谷出題地球史と生物進化に関する次の問題1〜5のすべてに答えよ。解答は解答用紙の所定欄に記入せよ。誤字・脱字は原点の対象となる。
1.以下の地球と他の惑星の大気についての比較表を参考にして、
A)地球の大気の特徴
B)地球の大気のなりたち
の2点について簡潔に
説明せよ。
2.地球史について、以下の設問に答えよ。
A)文章中の空欄に最適の語句・数字を、語句欄の候補から選んで、その番号を記入せよ。
地球の歴史は、生命の歴史といってもよい。地球は、主に( 1 )の情報から、太陽系の形成とほぼ同時の約( 2 )億年前に形成されたと考えられている。太陽や地球を含む太陽系の天体は、起源が同じであることが、太陽大気のスペクトルや( 1 )の情報から求められている( 3 )が一致することから推定される。
現在、地球上で最古の岩石は約
40億年前のものがカナダ北西部で見つかっている。また最古の海の地層は38億年前のものがグリーンランド南西部で見つかっているが、この中からは生物体を作っていた炭素の痕跡も見いだされている。最古の化石と認められているものは、約35億年前の光合成生物である( 4 )などの化石である。約
20億年前になると、真核生物と呼ばれる、より高度な機能を持つ生物(緑藻類)の化石が見いだされる。細胞内にミトコンドリアや葉緑体を共生させることで、効率的な酸素呼吸を可能にした真核細胞の出現により、多細胞生物の発展の基礎ができ、生命の歴史にあらたな局面が開かれた。約10億年前には多細胞生物(動物)が現れたと考えられている。これらの時代は地質時代の上では( 5 )と呼ばれており、産出する化石が少ないことから、これまで研究があまり進んでいなかったが、( 5 )末期の約6億年前には、( 6 )などの殻を持たない多細胞生物が繁栄していたことが化石からわかっている。( 7 )と呼ばれる時代になると、殻を持つ生物が出現し、化石となって発見される生物の種類が急速に増加する。( 7 )初期には( 8 )のような生物が繁栄した。( 7 )前期には、石灰質の礁をつくる生物が出現し、( 7 )中期のシルル紀、デボン紀には( 9 )などが造礁生物として繁栄した。( 7 )前期には、光合成活動で蓄積された酸素により、大気にオゾン層が形成され、陸上に降り注ぐ紫外線を吸収することで生物の陸上での生活を可能にした。このころ、魚類の中から陸上生活に適応した両生類が現れた。この時期から( 7 )後期にかけて、陸上に石炭の材料となった(
10 )の森林が発達し、酸素の多い大気と陸上生態系の基礎を形づくった。その森林の中で脊椎動物も発展していった。両生類の中から、より乾燥した気候に適応した( 11 )が現れたのもこの時期である。(
12 )に入ると、ひとつにまとまっていた大陸が分裂をはじめた。ほぼ同じころ、( 11 )の中でも、陸上で( 13 )が爆発的に進化を始めた。また、海では頭足類の仲間である( 14 )が種類を増やしていった。中生代を通じて繁栄した( 13 )や( 14 )は、約( 15 )万年前に絶滅した。この絶滅の原因には、巨大( 1 )の衝突が有力な候補と考えられている。ユカタン半島に衝突クレーターの痕跡が発見され、カリブ海の島などで巨大津波の記録が地層中に見いだされている。しかし、中生代末に向かって( 13 )や( 14 )は種数を減らしていることや、それ以前に絶滅した生物も多いことから、( 1 )衝突以前の環境変動を重視する考えも根強い。(
15 )万年前以降、現在までの期間を( 16 )と呼ぶ。( 16 )では( 11 )にかわって( 17 )や鳥類が繁栄し、現在に至っている。( 16 )は第三紀と第四紀に分けられるが、第三紀はさらに古第三紀と新第三紀に区分される。古第三紀の代表的な示準化石は( 18 )があり、新第三紀の示準化石としては( 19 )が有名である。新第三紀には日本列島が大陸から分かれて、厚い火山性の地層が堆積した。これを一般に( 20 )という。新第三紀の後半から地球は全体として寒冷化し、( 21 )や針葉樹の森林が広がった。第四紀に入る頃から氷期−間氷期のサイクルが始まったと考えられている。この時代に、特に寒冷気候に適応した( 22 )などの動物も現れた。我々人類の祖先は、この氷期と間氷期の急激な気候変動を、道具や技術をもつことにより乗り切って、現在の文明を築いたのである。【語句欄】
1)23、2)46、3)6500、4)クロレラ、5)三葉虫、6)クラゲ、7)シアノバクテリア、
8)先カンブリア代、9)新生代、10)中生代、11)古生代、12)クサリサンゴ、13)キノコ、
14)シダ植物、15)裸子植物、16)被子植物、17)マンモス、18)始祖鳥、19)アンモナイト、
20)恐竜、21)カヘイ石、22)ビカリア、23)ピカイア、24)グリーンタフ、25)爬虫類
26)隕石、27)花崗岩、28)玄武岩、29)質量数、30)元素存在度、31)同位体組成
32)昆虫、33)哺乳類
B)以下の問いに簡潔に答えよ。
1)縞状鉄鉱について簡潔に説明せよ。
2)ストロマトライトとは一般にどういうものか。「生痕化石」という語を使用して、簡潔に答えよ。
3.NHKジュニアスペシャル「進化の不思議な大爆発」の視聴内容から、以下の説明文中の空欄を、末尾の語句欄から最適の語句を選んで、説明文を完成させよ。
殻を持つ生物の出現は、先カンブリア代末期の約( 1 )と考えられている。それから間もない約( 2 )の海底に堆積した地層が、( 3 )の( 4 )の山中で発見された。この地層は(
5 )と呼ばれていて、その中から非常に良く保存された様々な生物の化石が発見されている。その中には現在の動物の分類にはあてはまらない、奇妙な生物も数多く発見されている。( 6 )は、5つの眼とゾウのような触手を持つ、体長
10cmほどの生物である。鋭いとげを背負った( 7 )や、ハルキゲニアのような生物も、現在の生物に近縁のものが見あたらない。( 5 )の化石生物の中で、劇的に復元されたのは、( 8 )という生物である。これは、長い間3つの別々の化石と思われていたものが、実は同じ生物の触手、口、胴体の部分化石であったことが、研究の試行錯誤の末に判明したものである。
当時の海底ではたくさんの( 9 )が生活していたが、Wのかたちに食い破られた( 9 )の化石があり、これを捕食した生物がいたことが考えられていた。復元された( 8 )は、まさにこのかたちの傷を( 9 )につけることが実験で示された。
( 8 )は世界各地の同時代の地層から化石として見つかっているが、約
2000万年ののちに絶滅して、その子孫は残らなかったと考えられている。( 5 )の奇妙な化石生物の多くは子孫を後の時代に残すことなく滅んだが、その中に、現在のわれわれ哺乳類や、爬虫類、鳥類、両生類などを含む、脊椎動物の祖先と考えられるものも見つかっている。体長数cmのその生物( 10 )は、固い外骨格を持たないかわりに、脊索というしくみを身体の内部に発達させた。これがやがて脊椎へと発展し、初期の魚類が出現したのである。語句欄
1)8億年前 2)6億年前 3)5.2億年前 4)2億年前 5)1.5億年前 6)カナダ
7)アフリカ 8)グリーンランド 9)ヒマラヤ山脈 10)ロッキー山脈 11)日高山脈
12)バージェス頁岩 13)赤色砂岩 14)縞状鉄鉱 15)トリゴニア 16)オパビニア
17)ユーラシア 18)ウィワクシア 19)アノマロカリス 20)エゾリス 21)モノリス
22)有孔虫 23)ゾウリムシ 24)三葉虫 25)ピカイア
4.NHKジュニアスペシャル「魚たちの上陸作戦」の視聴内容から、以下の説明文中の空欄を、語句欄から最適の語句を選んで、説明文を完成させよ。
最古の魚類は
4.6億年前頃の海にいた、アランダスピスなどの、いわゆる甲冑魚の仲間であると考えられている。初期の魚類の中には、河川や湖での淡水環境に進出するものが現れた。そのひとつがプテラスピスである。これは抵抗の少ない平たい身体を持ち、水底の泥をすくってその中の微生物を食べていたと考えられている。プテラスピスは、海水中から淡水中での生活に移行するために、( 1 )の機能を発達させて、余分な水分を体外に排泄していたと考えられている。海水に住む( 2 )を真水につけると、細胞膜が破れて中身が流れ出し、死んでしまう。このように塩分濃度の違いは海水に住む生物にとっては致命的になりうるのである。われわれ人間も、水分を取りすぎた場合などには、( 1 )から尿として大量の水を排出することにより、体内の塩分濃度を調節している。淡水環境の魚類は発展していき、
3.9億年前になると、どうもうな肉食の魚類も現れた。現在のほとんどの魚の祖先であるケイロレピスである。ケイロレピスの仲間は脊椎にカルシウムを蓄えて、丈夫な骨をつくり、泳ぐ能力を発達させた。また、筋肉を動かすなど、生命の維持に不可欠なカルシウムなどの( 3 )を骨に蓄えることで、( 3 )が不足しがちな淡水環境によりうまく適応していった。ケイロレピスとほぼ同時代の魚類、ユーステノプテロンは、ヒレの内部に( 4 )を持ち、現代の( 5 )のように空気呼吸をしていたと考えられている。ユーステノプテロンに近い魚の仲間が、現在もインド洋にわずかに生存しているシーラカンスである。ユーステノプテロンは泳ぐ生活に適応した肉食魚であったが、そのグループから、ヒレを陸上歩行のための四肢に変化させ、陸上生活に適応するものが現れた。グリーンランドで発見された、体長
1mあまりの両生類( 6 )は、3億7000万年前の生物であるが、計算では350kgもの重さに耐えられるほどの丈夫な四肢をもち、すでに陸上での歩行を可能にしていた。魚類から両生類への骨格上の進化のポイントは、この丈夫な四肢と、内臓を保護するための( 7 )の発達である。この( 6 )が、その後に発展する陸上脊椎動物の祖先と考えられている。脊椎動物よりも先に上陸し、すでに陸上で繁栄していた( 8 )の森林の中で、両生類、爬虫類、そして哺乳類型爬虫類が、長い時間をかけて進化していった。
一方、魚たちのあるものは、あらためて海の生活へと戻っていった。それら(硬骨魚類)は、不要になった肺をうきぶくろに変化させるなど、体のつくりを変えながら海での生活に適応し、甲冑魚のような古いタイプの魚類を古生代後期には滅ぼし、繁栄をきわめ、現在に至っている。
語句欄
1)肝臓 2)腎臓 3)心臓 4)ゾウリムシ 5)コガネムシ 6)三葉虫 7)ビタミン 8)ミネラル分
9)コレステロール10)骨格 11)空洞 12)脂肪 13)雷魚 14)肺魚 15)草魚
16)イクチオステガ 17)肋骨 18)頭蓋骨 19)大腿骨 20)シダ植物 21)キノコ 22)カビ
5.脊椎動物の進化に、大気組成や気温、大陸配置などの地球環境の変化はどのような影響を与えたか。一例を挙げて説明せよ。
解答例:中生代以降の大陸分裂により、オーストラリアは他の大陸と切り離され、孤立したために、哺乳類の中でも古いグループである有袋類が新しいグループの有胎盤類に駆逐されることなく発展し、独自の進化を遂げた。
6.中生代の生物について、一例を挙げて、その身体のしくみと進化について簡潔に説明せよ。必要があれば図を描いて説明してもよい。
ヒント:授業中に視聴したNHKジュニアスペシャルの番組で紹介した生物でよい。それ以外でも可。
7.人類は地球史上、どのような生物であると考えられるか。地球史の学習をふまえて、君の考えを述べよ。
なお、解答の作成に当たっては以下のキーワードを1つ以上文章中に用いることとし、使用した語句には下線をつけること。
語句:化石燃料、大気組成、温室効果、生態系、化学物質、放射性物質。
以上。