地学 1学期中間試験問題 F1G

1999.5.25(火曜)1限実施 萩谷出題

 

T

 宇宙の観測に用いられる電磁波の種類について、次の文章中の空欄に当てはまる最適の語句を記入し、文章を完成させよ。なお、解答は解答用紙の指定された欄に記入せよ。

 

 太陽の放射のうちで最も強い部分は目に見える光、すなわち( 1 )である。人間の目は太陽光に適応するように進化してきたと言える。しかし、太陽の放射エネルギーが可視光線だけではないのと同様に、天体の放射するエネルギーも、波長の短いものからγ線・( 2 )・( 3 )・( 4 )・( 5 )など、広い波長域にわたっている。その原因のひとつは、図1に示すように、天体からの放射の中で、地上で観測できるのは( 1 )と( 5 )にほとんど限られているからである。

 大多数の恒星は、太陽と同じように( 1 )領域の放射強度が大きい。従って、( 1 )の観測は現在でも重要な観測になっている。( 1 )と( 4 )の観測では、天体望遠鏡が用いられる。近年では宇宙空間に望遠鏡を設置して、大気による影響を排除して観測することが実現している。( 2 )による観測は、大気圏外に観測衛星を打ち上げることによって初めて可能になった。( 3 )は大気中の( 6 )により吸収される波長域であり、日焼けの原因ともなることで身近な存在である。( 5 )の観測は、低温のガスの分布やその運動、遠方の天体の観測などに有効であり、専用の特殊な望遠鏡(アンテナ)が用いられる。

 

U

 

 ハッブル定数と宇宙の膨張について論ぜよ。必要があれば、概念的なグラフを描いて説明しても良い。

 

V

 

 天文学の進歩は、観測手段の発展と、天体物理学や素粒子物理学の理論の発展とに支えられてきた。今世紀の天文学の進歩の上で重要であると考えられる、

A)観測手段

B)理論

 のそれぞれについて、ひとつずつ例を選び、その内容と影響について簡潔に論ぜよ。

 

解答の例: A)偏光顕微鏡の発達 …岩石を薄く磨いて光を透過させ、鉱物の微細な組織や構造を観察すると共に、偏光を用いることで鉱物の光学的性質をよりくわしく知り、鉱物の同定や組成の推定を用意にした。これにより岩石の成因論に具体的な根拠を与え、岩石学の飛躍的発展が起こった。 B)相平衡の理論の確立 …岩石中の鉱物の組み合わせや、その化学組成が、温度や圧力などの物理化学条件によって支配されることが明らかになり、これを利用して、鉱物やそれを含む岩石(マグマ)の生成条件を化学組成から逆に求めることが可能になった。

 

W

 

1)恒星の一生について、簡単に説明せよ。

 

2)我々の太陽系が、超新星爆発の残骸のガスから形成された証拠をひとつ説明せよ。

 

 

X

 

 星の明るさは等級で表される。5等級の違いは、100倍の明るさの差に相当する。1等級では、(2.5)5≒100であるから、約2.5倍の明るさの差がある。等級の数値が小さいほど明るい。

 一方、星の明るさは、観測する距離の二乗に反比例する。距離が2倍になると明るさは1/4になり、距離が10倍になると明るさは1/100になる。

 このことを利用して、様々な天体までの距離を求めたり、あるいは天体の光度(絶対等級)を求めることができる。

 

1)いま、ここに見かけの等級が+2.0の恒星がある。もしこの恒星の距離が、現在の位置よりも10倍遠くに移動するとしたら、この恒星の等級はいくつになるか。

 

2)絶対等級の基準は、10パーセク(=32.6光年)である。すべての天体が、この距離にあると仮定して、そのとき我々が観測するであろう光度を計算し、比較するのが、絶対等級の意味である。

 ここで、距離4パーセクのところに、見かけの等級が-1.0等の恒星があるとする。この恒星の絶対等級はいくつか。計算して求めよ。

 

3)北極星は見かけの等級が+2.0、距離約120パーセクにある、F7型のスペクトルを持つ恒星である。北極星はどのような星であるか。HR図を参考に簡潔に説明せよ。ただし、解答文中に「太陽と比べて」、「主系列」という語句を必ず用いること。

 

4)比較的近い位置にある銀河の中では、絶対等級が-3等程度の星があって、それを見分けることができる。最新のハッブル宇宙望遠鏡は、見かけの等級で+27等の星を識別できるといわれているが、それではこのような絶対等級が-3である恒星は、どれくらいの距離のところにある銀河の中で識別することが可能であるか。計算して求めよ。

 

5)天体からの光からは、どのような情報を取り出すことができるか。簡単に説明せよ。

 

以上


地学 1学期中間試験 F1G 解答用紙

1999.5.25(火曜)1限実施 萩谷出題

 

T

 

1)          2)          3)          4)          5)          

 

6)         

 

U

 

 

 

 

 

V

A)

 

 

 

 

B)

 

 

 

 

W

1)

 

 

 

 

2)

 

 

 

 

X

1)

 

 

 

 

2)

 

 

 

 

3)

 

 

 

 

4)

 

 

 

 

5)

 

 

 

 

 

 

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