授業計画「地球環境問題と地球システム −南極での汚染の進行を例として」

その2 萩谷 宏(90分授業を想定)

 

A.局所的な環境汚染とその対策の歴史 −「公害問題」

 

日立鉱山の煙害対策史を紹介する

 

日立鉱山 明治期に本格的開発、明治末から大正初期に精錬による煙害の増大

実物標本:黄銅鉱 化学式 硫化鉱物…精錬時にSO2の発生 →酸性雨の問題

 

煙害対策として、企業が被害補償の他に、観測所による電話連絡ネットワーク

煙に強い植物の育成、植林などの努力

抜本的解決を目指す …年間の高層気象観測 安定した気流の領域を確認

当時世界一の高さの煙突を建設 地上の被害を劇的に軽減。

 

最終的には戦後の脱硫装置と自溶炉の完成で解決。

 

*高度成長期に各地で公害問題が起こったが、半世紀以上前に積極的な解決の実例があった。

 

 

B.現代の地球環境問題

 

資料サイト:

デジタル教材「南極」 http://www.nhk.or.jp/nankyoku-kids/ (NHK学校教育番組部/NED, 2003

 

南極大陸 …地球のクリーンルーム

汚染源となる産業活動がなく、広大な氷床に覆われ、観測基地のみが点在。

 しかし、さまざまな汚染物質が検出されるだけでなく、生態系や地球システムに問題が出ている

  ペンギンから高濃度のPCBの検出、オゾンホール、急速な温暖化と氷床の融解、

 

 →「地球」環境問題の本質

  地球全体での物質輸送システムによる拡散と濃縮のメカニズム

 

「南極」環境問題編#1〜#4

1)PCBなど人工化学物質による汚染

2)オゾンホール

3)地球温暖化

4)地球システムと人類

 今回は#1のみを用いる。(15分)

 

PCBなど人工物質による汚染

 

 低緯度−中緯度で気化した物質が、極域の低温で凝結し、降水に混じって降下する

 極域でのPCBなどの濃度が高くなる

 

PCB…安定で便利な人工物質であるがゆえの問題 体内バランスを崩す可能性

 生物濃縮のプロセス 脂質に蓄積、分解されない…食物連鎖で上位の生物では高濃度になる

 北海のアザラシの大量死 おそらく抵抗性を低め、ウイルスによる感染症の蔓延

 南極でもペンギン、トウゾクカモメ、アザラシに高濃度で検出

 

 どこかで放出した物質が、地球規模で拡散し、ある場所では濃縮し、被害をもたらす。

 その場限りの問題解決ですませたツケ。

地球全体の熱輸送システムが機能している以上、局所的な汚染では済まなくなる。

 

*我々はもっと地球のしくみについて知ることが必要なのではないか。